「あなた、名前は?」 「……何で聞くんだ?」 「気になったから」 「…鳴海 歩。 あんたは?」 「……どうして、聞くの?」 「それをあんたが聞くのか? 答えは ――――…気になったから、だ」 聞かなくても分かることならば
「歩ー?どこだー?!」 陽の光が照りつける屋上に1人の少女が現れる その声に対し、日陰となる場所から寝転んでいた少年が声を返す 「ココだ。…馬鹿みたいに声を張り上げるな。こっちが恥ずかしいだろこの馬鹿」 「むきーっ!馬鹿馬鹿って何よー失礼な!」 「馬鹿は馬鹿だろ 仕方無い。変えようの無い事実だ」 「何よー!!」 屋上の入り口の壁に凭れるようにして座っている少年―歩―に向かって、立ったまま地団太を踏み文句を言う少女――を見、歩の口元が緩む 不意にその細く白い腕を引っ張り、自分の腕の中へと閉じ込める 「悪かった。機嫌直せよ」 「…ふんだ。簡単には許してあげないんだから」 「フ…そう言っていつもすぐに忘れるだろ」 「ムキー!そういうところが嫌いなの!」 腕の中で尚もバタバタと暴れる少女を、歩は一度溜息を吐くと抱締める腕に力をこめ、ぎゅっと抱締める 「…でも好き、だろ?」 「…自惚れないでよ。私がずっと歩のことを好きでいる保証なんて無いんだから」 「いや、あるな。なんたってあの兄貴からあんたを奪い取ったんだから」 「―――…奪い返されても、知らないよ?」 「その時はまた 奪い返すまでだ」 「歩。……あなたが私たちブレード・チルドレンを救ってくれなきゃ 私はいつかあなたから離れるからね」 「…何でだ?」 「………聞くの?」 「ああ」 「好きだからよ 歩を。 私が覚醒すれば、きっと1番身近にいるあなたを殺すわ」 「―――…なら、俺はあんたを追いかけるよ」 「どうして?」 「…聞くのか?」 「うん」 「好きだから、だ 。 殺すなら殺せばいい。好きな奴に殺されるなら、それこそ本望ってヤツだ」 その強く優しい、揺ぎ無い声に は自分に回された腕の服の裾をギュッと握る 涙腺が緩む 力が入らない。 はゆっくりと振り向いて、その瞳を見つめた 「( 清隆と、同じのようで 違う、目――… 殺す恐怖を知らない、翳りを知らない瞳… それでも、何もかもを受け入れる覚悟をした、強い眸… )」 目を閉じれば、歩は誘われるようにその唇に自身のそれを重ねた 互いの熱と、熱が 交じり合う。 そう遠くない未来に行き途絶えるであろう運命の少年と そう遠くない未来に殺戮を求める生きる兵器と豹変するかもしれない少女 「その時は…歩が、……歩も 私を殺してね」 彼等が惹かれたのは必然か、偶然か それとも、 運命か それを知る者は一人としていない。 「…」 「歩…?」 「救ってみせる。救いの道を 照らしてみせる。…それが、俺にできるブレード・チルドレンに対する想いだ」 「……“私”に 対しては?」 「――いつまでも、愛してみせる。そして、守り通す。がであるように」 「…ありがとう」 2人はもう一度口付けた 角度を変え 何度も、何度も。 …そこにひよのが現れて絶叫するのは、僅か60秒後のこと。 END 06/08/13 1周年御礼企画 凛様リクエスト。 甘いのか…甘いのか!? 甘というよりはシリアス微甘…って感じになりました。しかもヒロイン清隆の元カノですか!?(不倫!?) …彼女、というよりはヒロインが清隆を好きだった、みたいな…??そしてそれを知りつつ清隆がヒロインを傍に置いてた、みたいな? 小説内でも分かるとおり(分かるかな?)ヒロインはブレチルです… (ていうか何で歩にチューさせるとこんなに違和感があるんだろうか…)(私だけですか) 説明がないと分からんような駄文ですが…凛様に捧げます。 1周年、リクエスト、有難うございましたっ 凛様のみ苦情可。 By 紫陽華恋 |