Swindler a present



























































「メリークリスマス」
「メリークリスマス!」













互いに定番のお言葉を言い合って、微笑む。


今日は12月25日。


世間一般に知れ渡る クリスマス。














横浜の街に繰り出して クリスマス色に染められた街を歩く。


ちゃんと手を繋いで、離れないようにしながら。


適当なファーストフード店に入って、まず夕飯を食べることにした。

クリスマス限定モノを頼んで、席につく。





「はい、雅。クリスマスプレゼント。」
「おぉ ありがとう」





雅のプレゼントを渡す。
中身は、ベタかもしれないけど、手編みのマフラー。

ガサガサと私が包んだ包装紙を開けてゆく。

中身を見たところで、雅がふわ、と微笑んだ







「めっちゃ嬉しいぜよ ありがとうな 
「うぅん あたしがあげたかっただけだもん
 下手っぴだしね」






苦笑して、そう答えた。







雅は早速マフラーを自分の首に巻きつけ、「暖かい」と微笑んでくれた。














「お待たせいたしました」














丁度その時、店員さんが頼んでいたものを持ってきてくれた。

番号札を回収し、食事を置いてゆく。

雅はすぐに食べ始めて、あたしもそれに続いて食べ始めた。






























食事も終了し、街を歩く。














大きなクリスマスツリーを眺めて、何を買うでもなく店をブラついて。














普通のデートみたいに過ごすこの幸せな時間に、あたしは心から笑うことが出来なかった。






























遂に、帰る時間。















あたしの家までの道のり。


何も話さず、無言のまま時が過ぎる。


そして 足も進む。














もうすぐ家というとき、急に、雅が思い出したように声を上げた。














「ぁ」
「…?どうしたの?」
「忘れてた…俺今日は早ぅ帰らなあかんじゃった。
 すぐ其処やから帰れるな?
 また連絡するきに。じゃあの!」
「ぁっ、まさ…」














駆けて行く雅にあたしは声をかけることができなくて。


遂に見えなくなった時、あたしははぁ、と溜息をついた。













とぼ、とぼと帰路を辿りだす。


その速度は本当に遅くて、あと100m程だと言うのに中々辿り着かない。






























「…結局 くれなかったな」














ポソリと 呟く。














…そう、雅は今日 あたしにプレゼントをくれなかった。














毎年、くれていたのに。

モノじゃなくても、キスだとか 言葉だとか。

でも  今日は何も無かった。















催促するわけにも行かず、デートも終わってしまった。













つぅ、と涙が頬を伝う。

…その時、不意に携帯が電話の着信を知らせた。














ピッ

「…はい」



ディスプレイもまともに見ず、電話に出る。


その電話の相手は―…















『…やっぱり泣いとぉ』













「…ま、さ…?」















分からない筈がない。


誰よりも愛しい人の声。













『―…今から 立海の近くの公園に来て』

「え…?」

『待っとるけん、早ぅな』

「え、ちょ―…」


プッ プープー















「〜〜もう、なんなのよっ」













口では文句を言いつつも、あたしの眼からは涙が引いていて、体は自然と走り出していた。















立海を通り過ぎ、言われた公園へと走りこむ。














「っはぁ…はぁ…雅…っ?」





でも、其処には誰も居なくて


真っ暗な闇だけが広がっていた。






「ま、さ…?」






何も 返ってこない。














「―雅治…っ」

「Merry Christmas!! 














ぱぁあっ



「え…」



雅の声が聞こえたかと思うと、あたり一面に灯りが灯った。


公園の木々全てが イルミネーションで輝いている。




「え…なに…」

、」
「ま―…」



名前を呼ぼうとしたその時、体全体が暖かいものに包まれて。



気が付けば、雅の腕の中だった。







「雅…っ」

「悪かったのぅ 泣かせて。
 驚かせたかっただけなんじゃ」

「…雅…」

「これが 俺からのクリスマスプレゼントじゃけん 受け取ってくれん?」

「…当たり前じゃん!ありがとう、雅っ」





ぎゅぅ、と強く抱き付く。

雅も抱締めてくれて、輝くヒカリの中 暫くあたし達は抱き合っていた。






























騙されて 泣いちゃったけど






























詐欺師らしくて 良いかもね






























私だけの―…詐欺師のプレゼント。






























By Love Mistake. 紫陽 華恋

2005/Christmas/Request dream novels





皇 夏夜様リクエスト。
仁王夢です…
もう…なんか…ごめんなさいっ!
甘くなってるのでしょうかこれは…(滝汗)
甘いのは苦手らしく、でも書きたがる人間です。ハイ。(謎)
こんな駄文ですが…リクエスト、有難う御座いましたっ!
良ければ感想ください(うわ)

夏夜様のみ、苦情、お持ち帰りOKです。(お持ち帰りの場合は、<!-- DreamMaker から Request dream novels</font>までコピーしてって下さいね)