Bloody Halloween

「なァ、腹減ったー」
「…。さっきケーキ3個も食べてたじゃない」
「あ、間違った。喉渇いたー」
「…。………ハァ」

は後ろから絡み付いてくる丸井からするりと抜け、腰を下ろしていたソファから立ち上がり、丸井と向かい合う
丸井は僅か不機嫌な顔をしながらを見つめた。懇願の意を込めて。
それを見てはふっと満足そうに、妖艶に微笑んだ。

「クス…、いいわ、あげるわよ、私の血。私の可愛いヴァンパイアさん?」
「( …くそ、相変わらず主導権握ってんのはそっちかよ… )」

丸井はムスッとしながらも、ふわりとの目の前へ。
1度、強くギュッと抱き締める

「いただくぜぃ、俺の愛しいプリンセスさん?」
「っふふ、どうぞ?優しくね?」

遠慮なくその白い肌に牙を立てようとした瞬間
ふと、思い出した。

「…Trick or treat」
「え?」

丸井が急に呟いた言葉に、は首をかしげた
丸井はの髪に指を通しながら、言う

「そういや今日、ハロウィンだったなーと思ってよ」
「ああ、そういえば…。じゃあ……“treat”」

が言い終わるか言い終わらないかの刹那、丸井は優しく、しかし勢いよく牙を立てた
じゅる、と血を啜る。
は僅かに紅潮しながら、顔を顰めた。


ある程度貪ったところで、丸井は牙を抜いた。
自分の噛み跡のあたりの血を舐めとるため首筋に舌を這わせると、はびくんと身じろいだ。
それに少し気分をよくしながら、丸井は少しから体を離し、
少しぐったりしているの頬を撫ぜ、優しく  口付けを落とす。

その時のキスは、


鉄の味がするのに何故か甘い、不思議な キスだった。



( [ Love Mistake. ] 紫陽 華恋 2周年・300000HIT御礼フリー小説 )