チッ…チッ…チッ… ポー…ン 「あけましておめでとーう!!」 「おめでとう」 お母さんにそう叫んでから、あたしはあらかじめ用意しておいたメールを一斉送信した が、しかし うまくいかない。 そういえば、Docomoは3回に1回くらいしか繋がらないとか言ってたなぁと先ほど見たニュースを思い出してみる 「…くそ…おりゃ……んもー!3回どころかこれで6回くらいなんですけど!」 一人で叫びながらカチカチと携帯を弄る すると、やっと8回目で――― 「おっしゃぁいけた!…でもまだ5人だけだもんなぁ…あと15人くらいいるよ…」 ぶつぶつ呟きながら、めげずに送信し続ける。 すると、ディスプレイが送信ではなく受信画面へと切り替わった 「( お?誰だ? )」 新年一番目のメール送信者は誰だ。 メールを開くと、それは 「おぉ、ブン太じゃん」 ごく普通のあけおメール。やはり一斉送信したらしく、他4人くらいの知らないアドレスが載っていた 「ま、いいや。とりあえずあたしも全部送んなきゃ…」 5分後、すべてのメールを送信し終えた頃 一通のメールが受信された 「( 誰か返信してくれたのかな? ) さてさてだーれだっと…」 手馴れた手つきでメールを開く 送信者は… 「…跡部?」 A Happy new year - The prince of tennis - 「あけおめー跡部。…と樺地と日吉もいたんだね」 行き交う大勢の人々の中、一人異様なオーラの美人を見つけあたしはその人物に声をかけた でも他にも2人いたらしく、跡部の異様なオーラのせいで存在が かき消されていることに苦笑する 「ああ、おめでとう」 「おめでとうございます」 昨日…いや、今日になるのだろうか、跡部からのメールに書かれていた内容は、定番の挨拶と、時間と待ち合わせ場所。 これも一斉送信らしく、他のアドレスはすべて見知ったものだったので、きっとみんな来るんだと思う ちなみに、跡部は着物姿。かなり似合ってる( っつか美人は何でも似合うなあ ) あたしも一応、着物だけどね 「他の人は?」 「この2人以外なら、忍足はもう来てる。寒いとか言って、今は近くの自販機に何か買いに行ってるがな。…俺の分も」 「ふーん( さすが跡部。ちゃっかりしてるなぁ )」 午前10時 氷帝学園東門近くの寺前 それが今日の待ち合わせ場所と、時間。 まぁ十中八九…どころか十中十(?)ここで初詣するんだろう 「よす」 「あ、亮、長太郎。あけおめ」 「ああオメデト」 「おめでとうございますさん」 亮は着物ではなくかなりラフな格好だった。 長太郎はしっかり着物だけど。 「他の奴らは?」 「忍足以外まだだって。忍足は飲み物買いに行ってる…跡部の分も」 「ふーん…ちゃっかりだな跡部はよ」 亮があたしと同じ反応をしたことに、少しだけ笑ってしまった 前から好きなものとか色々気が合うとは思ってたけど、やっぱこういうところも似ているんだ 「おぉ結構集まったやん。…はい跡部 コーヒー」 忍足がコーヒーを2つ持って現れた。こいつも着物姿だ(和服似合うなあ) 「サンキュ」 跡部は缶を受け取ると、まず少しの間だけそれで手を温めてから、プルタブを引っかきコーヒーを口に入れた それを見てるとあたしも欲しくなってしまい。 「跡部。…ひとくち。」 「あ?ああ…ホラよ」 「ありがとー」 「!俺のんやるで!全部!」 「忍足はヤダ」 「狽ェーん!?」 あはは…と笑いながらコーヒーを飲む ( うん、美味しい ) なんとなく身体があったまったような気がする。 コーヒーを跡部に返すと、丁度岳人とジローがきた あたしたちの姿をその目に納めると、元気に飛び跳ねながら定番の言葉を叫んだ 「あけおめことよろ!」 「ん〜…おめでとう〜…」 「…起きてんの?ジロー」 岳人もラフな格好だけど、ジローは着物だった。お母さんあたりにでも無理矢理着せられたのだろうか 「よし、これで全員そろったね。…行こー」 「ああ」 ぞろぞろと境内へと入っていく 美形がこれだけ揃っているのだ。すれ違う女たちは決まってこちらを振り向いた。 氷帝に近いこともあり、氷帝の生徒も多く見かける。 もとよりテニス部(元だけど)ファンが多いために、女生徒たちの大半は「跡部様だわ」とか「忍足くんよ」とか言って振り向いてた …ちなみに、何故あたしがこいつらと仲いいかというと… まぁ、マネージャーだったのだ。 しかも、6,7人いるマネージャーのうちの頂点に立つ、マネージャー長だった。( 主任さんみたいなもんね ) だから他のマネよりはレギュラーとも仲良かった。 周りが騒ぐような、恋仲に発展したことは一度もないけど。 まぁ、あたしたちが仲いい理由にそれもあるんだと思う。他のマネはみんな、仕事はするけどかなりミーハーだったし みんな、そういうのは嫌いみたいだから。 「さて、何お願いする?」 「やっぱ今年こそ氷帝テニス部全国制覇、じゃねーの?」 「やめてくださいよ向日さん。神頼みなんかじゃなくて俺たちは実力で全国制覇を果たしますから」 「うっ…」 「いや日吉…ここは寺やから神頼みちゃうで?」 「…あげあし取らないでくれますか忍足さん」 引退しても変わらぬやり取りに自然に笑みが零れた やっぱり、イジメとかに耐えつつもマネージャーをやり抜いてよかった。 この人たちと一緒に闘えて、よかった。 「…さて、お祈りも終わったし屋台もめぐったし。このあとどうする?」 「ん?うーん……渋谷あたりいかね?」 「このカッコで?」 「もち」 「…まぁいいけど。じゃあ行こっか」 新たな目的地が決まったところで寺から出て、バス停へと向かう バスに乗り最寄り駅で降り、電車で渋谷へ。 「みんなで電車乗るなんて初めてじゃない?」 「そうかもー」 渋谷某所 「そういやて立海にイトコおるんやったでな?」 「へ?うん。…あ そういえば、立海メンバーも今日渋谷に来るって言ってたなぁ」 「え、立海にイトコなんかいんのかよ」 「うん」 「誰誰!?」 「えっとねー… 「…じゃね?おーい−!」 あ、ブン太」 岳人にあたしのイトコの名前を教えようとしたら、後ろから声をかけられた そこには今話していた立海のメンバーが。 ジローは早くもブン太のもとへ走り寄っている 「で、イトコって誰だよ?丸井か?」 「違うよ。真田」 「……マジで?」 「うん。おーいげんいちろー」 「なんだ、」 岳人はあたしのイトコにショックを受けているようだ。 ひどいな…あたし結構弦一郎のこと好きなんだけどなぁ。…あまりにキモくて。 「あけましておめでとう、」 「あ、おめでとう幸村くん」 「おめでとさん、」 「仁王もー」 立海のメンバーとは弦一郎を通じてかなり仲がいい。 特にブン太、仁王あたりとは普段からよくメールをする仲だ 「さんたちは初詣に行ってらしたんですか?」 「うん、そうだよ柳生くん」 「ふむ…皆似合っている」 「ありがとう柳くん」 美形がさらに増えたおかげで集まる視線が半端じゃない。 しかもあたしには痛ーい嫉妬の視線だし。 「お前なに性格に似合わず着物なんか着てんだよ。キモいぜぃ」 「狽ミど!キモいのは弦一郎だけで十分でしょ 「!?」 似合ってるでしょー?」 「ま、まぁ…似合ってるけど…」 やばい。すっごい楽しいかも これだけ(あたしと、だけど)仲がいいメンバーが一気に集まるなんて滅多にないし… 「ね、みんなでカラオケいかない?」 「お、いいっスねぇサン!行きましょう行きましょう!…あ、よぉ氷帝の現部長サン。調子はどうよ?」 「フン、いいにきまってるだろ、立海の現部長殿」 「ははっ、そりゃいーや。再来週の新人戦、楽しみにしてるぜ」 「望むところだ」 「まぁ、えぇんとちゃう?」 「ハッ 仕方ねぇな。氷帝の分は俺様が払ってやるよ」 「さっすがアトベ〜太っ腹だC〜」 カラオケに行くという意見に皆異論はないらしい。 「じゃ、行こ!」 カラオケではパーティルームを貸切り歌いまくった。 みんな歌が上手くてびっくりしたけど、すごく楽しかった たとえば跡部の「俺様の美声に酔いな!」発言だったり、真田の歌ったのが演歌(しかもやら上手い)だったことか。 来年はもうこれだけのメンバーで集まることはできないだろうけど、またやりたいなぁと思いながら 時間が流れるのは早く。 「今年もよろしくね、みんな!」 「こちらこそ!」 「ああ」 「シクヨロ☆」 「ピヨ」 今年もよい1年でありますように☆ |
( [ Love Mistake. ] 紫陽 華恋 2周年・300000HIT御礼フリー小説 )
----------この下は切り取ってくれてかまいません----------
2007年のラブミス。年賀企画にて、年賀メールにのみアドレスをのっけて配布したフリー小説。
まあつまり企画に参加した人のみが知る隠された(?)年賀夢ですね
もう1年も経てば時効だろうと30万/2周年の方に入れちゃいます。エヘ。