雲1つな…くはないけど、とりあえず晴れた青い空。





暖かい、ぽかぽかした陽気。





デート日和!

















その温もりを、忘れない。

















「ってことでさ、景吾 デートしよう!」


「”ってことで”ってどういうことでだよ…」






景吾は(多分キラキラした目をしてる)私の顔を見て項垂れるように言うと、読んでいた本を閉じた






「…で、どこ行きたいんだ」


「景吾大好きっ!」







テニス部はいつも部活で、彼氏である景吾と休日に遊ぶのなんて久しぶり。



そしてそんな日に景吾の家でじっとしてるなんて勿体無い!(こんな良い天気だし)







「そうだな…遊園地に行きたいです!」






早々に部屋を出て行く景吾の後を追いながら、その背中に叫んだ。(後姿も格好良いよ 景吾…!)





















































「うっはー…遊園地なんて久しぶりー」






色々なアトラクションに、凄い人の数。(さすが日曜日)






「で?何乗るんだよ」






人混みを見て、気ダルそうに景吾が問うてきた。


…そんなの、







「ジェットコースターからに決まってんじゃんvv」







この光景をある二人に見られていたとは知らず、私は景吾の腕を引っ張ってジェットコースターへと駆けて行った。




































――ある二人――






「見たか?岳人」


「あぁ 見たぜ」


「跡部とがデートしとった…こりゃ早速同志を収集せなアカンな」


「そうだな」







ある二人とは、バンジージャンプしたさに遊園地に来た岳人と、それに無理矢理付き合わされた忍足だった。




































「っふぁー迫力だったー」



「(…もう乗りたくねぇ…)」







スッキリ爽快(?)な私とは正反対に、景吾はとても不快そうです。



え、景吾って繊細だったの?(ゴメン)







「あ、ジュース飲んで一休みしようよ」







まだジェットコースターしか乗ってない現状で一休み、とも言うのも変な気がするけど、


景吾の気を落ち着かせるために、とりあえず近くのベンチへと座る。








「待っててね、ジュース買ってくるから」


「悪い、頼む。…財布持ってけ。」


「あ、うん」








景吾が自分の財布を投げて私に渡した。


受け取って、走り出す。









「(1番近い自動販売機は、っと…)」








キョロキョロしながら走っていると、不意に腕を掴まれた。








「!!?」


「デート中スマンな」


「おした「ハイハイちょぉ黙りー」








忍足は私の腕を掴むと、景吾の元へと歩き出す。









「ちょ、離してよ」

「嫌や」

「何でっ」

「まぁちょぉ待てや」








忍足は私の手を一向に離そうとはしてくれない。




私はとりあえず、静かに付いて行く事にした。




































「ハァーハッハッハァ 聞いて驚くなや跡部!」


「…忍足?(どれだけフザけた登場の仕方だよ…)」


は俺らが預かった!」


「ハァ?」


「(え、“俺ら”って…忍足1人じゃないの…?)」





「クソクソ跡部っ!を独り占めしやがって!」

「良い度胸だCー」

「俺を敵に回すと怖いですよ?(ニコッ」

「(長太郎が黒い…真っ黒だ…)」

「フフ、跡部やるねー」

「(下剋上だ!)」

「ウス」






「…中学生男児がゾロゾロと野郎だけで遊園地かよ?ハッ 見てるだけで虚しいぜ」

「五月蝿いわ跡部!俺らが勢揃いして此処に居るんは理由があんねん」

「何だよ?」

「俺らは全員が全員、1回にアタックしてフラれた。」

「(そういえばフったねぇ…)」

「ってことで、そこにある同盟を結成した。その名も…」





「「「「「「「「跡部との仲を邪魔しましょう同盟」」」」」」」」




「「(そのまんまじゃん…)」」





ノリノリな忍足と一緒に、他の皆もそう言った。





そのまますぎるネーミングセンスに、笑いも出ない。






「…俺様との仲を邪魔しましょう、ねぇ…」

「何でそんなことするのよーっ 私は景吾が好きなの!あんたたちは関係ないっ」

「せやかてな…俺らはがホンマに好きやねん。そない簡単に諦められへん。」

「ぐ…」






忍足の奴、こういう時だけ真剣な目になりやがって…っ(格好良いじゃないか!!)






「ま、とにかく邪魔しましょう同盟やからな。邪魔させて貰うでっ」


「煤I?んなぁっ!?」




気付けば忍足にお姫様抱っこされてました。(景吾にもされた事ないのに!)




「行くでみんなー!」



そう言って忍足は私を抱いたまま走り出した



「「「「「「「おう!」」」」」」」





どうやら、景吾と私の仲を邪魔しましょう同盟のリーダーは忍足らしい。



忍足の号令と共に、みんなが景吾の前に立ちはだかった



私はただ、遠くなってゆく景吾の姿を見つめるしか出来なかった





















































「(…怖いんですけど…)」





私が今いるのはおばけ屋敷。




…の中に、ただ一人。




おばけ屋敷にお姫様抱っこされたまま入って、(店員さんに変な目で見られたし!恥ずかしっ!!)




暗闇に乗じて忍足を殴り忍足から解放された私は、ただ走りに走って忍足から逃れた。



…のは良いんだけど。



どうやらこのおばけ屋敷は迷路風になってるらしく、適当に道を進んできたため忍足も来ないし、



出口も見つからない。



女一人がおばけ屋敷(しかも迷路)に一人きりなんて…ありえないっ







「っ…ぅ…けい、ご…」






気付けば涙が溢れていて、その場に座り込んでしまった






「景吾…来てよ…」





自信過剰なくらいのその不敵な笑みで、私を安心させてよ





「景吾…っ「呼んだか?」





その声に、バッと顔をあげれば、暗闇で姿はハッキリ見えないけれど、景吾がいた。





そのシルエット、声、暗闇の中、唯一輝いている瞳は、私の大好きな、





「景吾…っ!」





私は景吾に抱きついて、いっぱい泣いた。





怖さと嬉しさで、おばけ屋敷を出るまでの間、涙は止まらなかった。





















































「…で、お前ら覚悟はできてんだろーな?」

「「「「「「「すみませんでした」」」」」」」

「景吾…なに、これ」






おばけ屋敷を出ると、忍足をはじめとする同盟メンバーがズラリ。


私たちの姿を見ると、頭を下げて謝ってきた。






「スパイを潜らせてたんだ この同盟ん中に」

「え?」

「ジローだよ。」

「ジローくん?」

「そー俺スパイ!」





そうニッコリ微笑むジローくんに、私は首を傾げるしか出来ない。


なんでジローくんがスパイだとこうなるの?






「…お前知らねぇのか?ジローの喧嘩強さ」

「へ?」

「ここらへん一帯治めてんの、ジローだぜ」

「!!?」

「へへっ、俺すげぇCー」






自慢げに笑うジローくんはただの無邪気な少年なのに。


それなのに、ジローくんがここらへん一帯の番長ですって?


…世も末だね…






「じゃ、お前らは帰れよ

 ジローに殺されたくなかったらな」



「「「「「「「ハイ」」」」」」」




「ホラ 行くぞ」

「あ、うん」







しゅんとなって帰って行く同盟メンバー達を不憫に思いながらも、私は景吾に付いて行った。





















































「っわぁ…高い…綺麗…っ!」


「今日はデートもクソも無かったからな

 最後くらいデートらしくしようぜ」


「うんっ」








景吾が向かった先は、観覧車だった。






高くから見下げる遊園地 それを照らす夕焼けの色。






どことなく心を癒すその景色に、私は感嘆の声を上げる








…悪かったな」


「え?何が?」


「忍足から…守れなかったこと。

 一緒にジュース買いに行ってりゃ…」


「景吾、しんどそうだったし。それに過ぎたこと言ってもしょうがないよ。

 それに…」


「それに?」






聞き返してきた景吾に、私は微笑むと、






「景吾、助けに来てくれたじゃない」



「…ア?」



「おばけ屋敷で…景吾、景吾だけは、私を見つけてくれたじゃない」





私の言葉に、景吾は数秒固まった後、





「…当たり前だろ」





そう言って、私の大好きな不敵の笑みで微笑んだ





その笑みは今まで見てきた笑顔のどれよりも綺麗で、安心して、ドキドキして…

















「大好き」





「…俺も 愛してる。」


















そう言って抱きしめられたときの温もりは、多分一生忘れない。




























END





06/3/25

50000HIT御礼企画 葉月 様リクエスト。

…ギャグ街道に走ってしまいました…
やっぱりか、という気持ちがいっぱいです(笑)
逆ハー書くと絶対ギャグ街道いっちゃうんですよね

駄文ですが、葉月さんに捧げますっ

50000HIT、リクエスト、有難うございました!

葉月様のみ苦情可。
(お持ち帰りの際は背景の直リンクだけはしないでくださいませ)

             By 紫陽華恋