「ー!」 「リナリー、どうしたの?」 「ジェリーさんがケーキ作ってくれたの。一緒に食べない?」 「いいわね、頂くわ」 「中庭でみんなで食べようと思ったんだけど、神田だけ見つからないの 、知らない?」 「…すぐに連れてくから、待ってて」 「よろしく。早くね!」 握られた手 「ったく…ユウは何処ほっつき歩いてんのかしら」 キョロキョロと辺りを見渡しながら、教団内を歩く 建物内は全て見たものの見つからないので、外へ出た そのとき、ふっと風が頬を掠める 「…あ、あそこかも」 マテールの任務に行く前の事を思い出した。 ユウは、林の中で特訓していた 思い立ったら即行動。 対アクマ武器を発動し、翼を生やして勢いよく地を蹴った ――バサッバサッ 「…んー…」 林の中を、上空から見下ろす すると、木の下にあの見慣れた団服が見えた 「(ユウかな?)」 ゆっくりと降下し、その人物へと近づく ひょこっと覗けば、黒い長髪が目に入る 「ユウ発見。…ていうか………寝てる」 「…ん、…スー…スー」 身をよじる けれど、起きる様子はない。 「…寝顔はこんなに可愛いのにね」 いつもの彼の様子やアレンやラビとの掛け合いを思い出し、目を細め、唇で弧を描いた 普段ならば、武士の勘(?)か何かで、寝ているときに他人が近づけば条件反射で方を突きつけるのだが、 今は全然だ。ぐっすりと寝入っている。 「余程疲れてるのか、それとも…私だからなのか…」 一瞬思案したが、すぐにその思考を断ち切った。 そんなもの、本人にしか分からないし、本人自体分かっていないかもしれない。 『早くね!』 不意にリナリーの言葉を思い出し、小さく息を吐いた こんなに気持ち良さそうに寝ているユウを起こすのには気が引ける。 …でも、黒の教団 影の支配者と謂われるリナリーを敵に回すほど私はバカじゃない。 せめて苦しく気持ちよく起こしてやろうと、規則正しい寝息を立てるその唇を塞いだ …勿論、自分の唇で。 「スー…スー…………っ!?」 ユウが目覚めたのが分かる 苦しそうにしてるのも。 けれど、やめない。 何度も角度を変えて口付けてやった 「っ……っぶはぁッ !?何がしたいんだよテメェ!!!」 「ユウを起こしただけよ?」 「もうちょい普通な起こし方ってモンがあるだろーが!」 「いや、こっちのがユウ、悦ぶかなーって」 からかい半分で言ったのだが、ユウが顔を真っ赤にしたもんだから思わず噴き出してしまう 「ッ、何笑ってんだ!」 「だ、だってユウ…それってムッツリスケ「スケベじゃねぇ!!!!」 「あはははははははは!」 笑いながらその場を駆け出した ユウも、追いかけてくる。 …うん、このまま待ち合わせ場所に行こう。 「ーッ!!!」 「…さん…なんでそんなに息切れしてるんですか?神田も…」 「な、んでも…ないっ、のよ…」 「なんでも、ね…ぇ…」 と神田は2人そろって肩で息をしていた 明らかに、なんでもないはず無い。 けれども本人達が何もないと言っているので、納得しないながらも、アレンは頷いておくことにする 「ケケッ…ケーキを、の為に取っておいたである 食べるか?」 「ん、クロちゃん有難う」 「ちゃん、こここここ、紅茶を淹れたの。の、飲んでくれる…?」 「有難う、ミランダ」 が微笑めば、クロウリーやミランダをはじめ、その笑みを見た者すべてが赤面する 「?」 「ーっ!」 「ラビっ…!?」 突然抱きつかれ、よろける。 ラビはお構いナシにに擦り寄っている 「久しぶりさぁ 」 「久しぶり。元気だった?」 「不足だった」 「何よそれ」 ラビとは笑い合う そしてそんな一部始終を見ていたコムイが口を開いた 「…こんなに皆が揃うのも 久しぶりだね」 その一言に、辺りが一瞬、静寂に包まれた。 けれど、すぐに感嘆の声や喜びの声、笑い声によって辺りは騒がしくなる 「…ずっと こんな風に幸せだったら良いのに…ね」 小さなの呟きは、隣に居るラビと神田にしか聞こえなかった 「…大丈夫さ。いつかこんな幸せが続く日々かくる。……その日々を手に入れるために 俺らは…」 「…うん、ありがとう ラビ ………いつか、来ればいいね」 は、悲しそうな笑顔をラビに向けた。 刹那、反対側の手が強く握られる 「ユ…」 「こんな日々を本当に望むなら そんな顔すんじゃねぇ 俺たちが諦めてどうする それに、そんな日々は来るもんじゃない。俺たちが作り出すんだ」 思いがけない神田の台詞に、とラビは目を見開いた そして、ふっと目を細める 「…ありがとう」 手を握り返し、は心からの笑顔で微笑んだ 叶わない夢かもしれない。 それでも叶えるのが、私たちの すべきこと。 『また、みんなで幸せに笑い合えますように』 まだ見ぬ未来に、小さな願いを馳せた END 06/5/15 50000HIT御礼企画 なな★ 様リクエスト。 ど、どこが甘なんだっ…!って感じですみません。 ほのぼの〜とした感じになっちゃいました… かなり遅くなりました ね … その上駄文な上に短い!…お許しくださいっ…! こんなものですが、なな★様に捧げます 50000HIT、リクエスト、有難うございました! なな★様のみ苦情可。 (お持ち帰りの際は背景の直リンクだけはしないでくださいませ) By 紫陽華恋 |