俺様に1番にドリンクを渡せ」

「?何で?」

「…特に理由は無いが」

「なら近い順に渡すよ 跡部 へんなの」

「〜〜…っ!」






氷帝学園中等部 男子硬式テニス部の ある日の部活のことでした。

















ドリンクは 1番先に 貴方に 渡します

















「…ニブいなぁ ちゃん」



跡部より先にドリンクを受け取った忍足が、憐れみの笑みを浮かべながら跡部へと近寄った



「五月蝿ぇよ 忍足(何で本人は気付いてないのにコイツは気付いてやがるんだ…!)」



跡部は自分より先にドリンクを受け取ったのが気に入らないのか、忍足を少し睨みながら相槌を打つ



「…言うとくけど、跡部」

「アーン?何だよ」

「テニス部内で跡部がちゃんのこと好きて知らんのん、本人くらいなもんやで?」

「…はっ!?」



忍足が発した言葉に、跡部は素っ頓狂な声を上げた。

当の忍足は、その声に驚いているようだ



「な、何やねん 大きな声出しなや

 …っちゅーか、もしかして…知らんかった、とか…言う?」

「…」



忍足の言葉に跡部は痛くなりそうなくらい首を縦に振った


忍足は苦笑して、ポン、と跡部の肩を叩いた



「…あんな、自分な?分かりやすすぎやねん。んで、はニブすぎ。」

「………分かりやすい?」

「あぁ」

「…本当か?」

「ホンマや」

「……………マジかよ…」



跡部はそう呟いて項垂れる

丁度その時岳人が忍足を呼んだので、忍足は跡部に「頑張りや」と言葉をかけると岳人の元へと走っていった



「(…。)」



跡部は考え込む。

その時、ひょこっと跡部の前に姿を表した人物が一人。

――他の誰でもない、



「どうしたの 跡部」

「っ、いや 何でもねぇ」

「ほんとかなぁ?」

「それよりっ

 今度遊園地にでも行かねぇか?」



跡部は苦し紛れ(?)にデートの提案を出す



「えっほんと!?行きたかったんだ!(わぁいv 跡部(+その他大勢)とデートだvv)」

「じゃぁ決まりな。…言っとくけど、二人で、だぜ?」



はしゃぐに、跡部は念のため、『ふたりだけ』だとに言った

はキョトンとして、



「二人?みんなでじゃないの?(ま、まじですか!!)」

「アーン?ふたりだ、ふたり!」

「?分かった(緊張する…!)」

「また詳しいことが決まれば連絡する じゃぁな」

「はーい」



了承の言葉を聞き、跡部は一安心というように息を吐いた


そしての元を離れ、ベンチへと腰掛ける


そこに、さっき去って行った関西弁伊達眼鏡が近づいてくる




「よぅやったやん 跡部」


「ウルセェよ」


「ほな、デートん時が山やな。キめりや」


「…言われなくても分かってんだよ」




跡部はそう言葉を吐き捨てると、恥ずかしいのか、すぐさま立ち上がり、逃げるようにしてその場を去った




「(も跡部のこと好きやのに…)…跡部も、ニブいんよなぁ…」










































































―デート当日―







「うわ、跡部 早ッ!!」


「アーン?レディを待たすワケにはいかねぇだろ?」


「アハハ、何それーあたしのことレディだなんてこれっぽっちも思って無いくせにー(悲しいけど!)」


「うるせぇな」(←否定しない)






待ち合わせ時刻15分前。


が待ち合わせ場所に着くと、跡部は既にそこに居た。


失礼ながらに跡部はただの俺様ナルシストで紳士なんかではないと思っていたには、かなりの驚きが。


俺様ナルシスト。別に貶している訳では無い。


はそんな跡部が好きなのだから、決して貶している訳では無い、はず…多分…(おいナレーター!)






「ホラ、行くぞ」


「はーいっ」






傍から見ればどー見ても恋人同士。


お互いに好き好き光線を放っているのにお互いに気付かないこの二人は、


相当のニブちんなのだろう










































































ジェットコースターに急流すべり メリーゴーランドにコーヒーカップ






跡部とは目に入ったアトラクションに片っ端から乗っていった





…というより、跡部はに引っ張られて、だが





































「おばけ屋敷入ろうっ!」



「アーン?おばけ屋敷?」



「そう!ほら行こ」



「服引っ張るな!伸びるだろうが」



「じゃぁどこ引っ張れっていうの」



「…腕」



「え」



「腕ひっぱりゃいいだろ」



「わ、わかった…」






はゆっくりと跡部の腕をつかむ。


これで恋人じゃないなんてもはや詐欺だろうと思われる光景だ





































バーーーン!!



「うぎゃぁあああ!!!」

「…お前な、もうちょっと女らしい驚き方しろよ…」

「う、うるさい!」



キシャァアアア



「ぎゃーーーーーーー!」

「(だから『き』に濁点をつけるなっての…)」



  ギュッ



「!!」



ゴォォオオオオオ



「ぎゃぁあああああ悪霊退散ーっ!!」ドカッ(オバケを蹴った音)

「(…無意識、か?)」(それに気付かない跡部)






跡部の腕を掴んでいた

しかし恐怖から、咄嗟に跡部の腕に抱きついていた。

跡部はどうしようかと迷うも、そうされて嫌な筈がない。

とりあえずそのまま進むことにした。





「あ、あとべぇ…」

「!!」

「こ、こここ怖い…」





そう言って跡部を見上げる

その瞳は涙で潤っており、

跡部の心臓は大きく跳ねる





「(か、かわい…)」

「ダッシュするよっ!!!」

「ア?ってオイ…

 〜〜〜〜〜〜!!!」





急に走り出したに、跡部はなす術も無いまま引っ張られる


気付けば、辺りは明るかった。






「あー怖かった!」


「お前が入るって言ったんだろうが」


「それはそうだけ ど…」


「?」






の言葉は最後まで紡がれることなく力なく消えた。


跡部は何か、との視線の先を見る


それは、自分の腕…






「っわわわわゴメン跡部っ!(あたしいつの間に腕に抱きついてたの!?)」

「い、いや…(ずっと抱きついてくれてて良かったのに…)」






シーン。



どことなく気まずい沈黙が流れる



はその空気を打ち破ろうと辺りを見渡した



「あ」



そして見つけたものは



「観覧車乗ろうよ 跡部っ」





































「「…。」」






再び訪れる沈黙。


はどうにかしようとキョロキョロするもどうすることも出来ず、諦めて俯く。


てっぺんが近くなってきた。






「…


「え?」




ぐいっ




「!?」






が名前を呼ばれて顔をあげれば、至近距離に跡部がおり、

腕を引かれてその腕の中へと包み込まれる






「//!!?」

「…」






がオドオドしていると、そんなをよそに跡部はの頬を両手で包み、






「¥△×●!!!!!??????」(声にならない声)

…好きだ…」

「あ、あとべ…」






の唇にキスを落とすと、跡部はそのままを抱きしめた


は戸惑いつつも、抱き返す






「!」

「あ、あたしも跡部が好き…だよ?」

「…ホントか?」

「うん」

「……サンキュ」

「あたしこそ…嬉しい…」






二人の世界。


辺りにはオプションとして、薔薇が飛んでいそうだ






そんな二人だけの世界を破ったのは

















  ガチャ







「あ、あの…もう一周廻りましたよ…?//」

「「!!」」







遊園地の、観覧車配属の 店員だった。










































































 俺様に1番にドリンクを渡せ」

「?何で?」

「お前は俺様の女だからだ」

「…あたし景吾の所有物じゃない」

「…俺がお前を好きだからだ」

「はいっ景吾vv あたしの愛情タップリ入ってるから!」

「サンキュ、






氷帝学園中等部 男子硬式テニス部の ある日の部活のことでした。

















「お互いにニブちんなのも見てられんかったけど…


 …ここまでラブラブバカップルなんも見てられへんわ…」

















忍足の呟きに、誰もがうんうんと頷いた




























END





06/3/31

50000HIT御礼企画 ルル 様リクエスト。

ギャ、ギャグ!!?
甘っていう指定だったのに…(滝汗) orz
いやでも観覧車あたりは甘めにしたつもりです
許してください(土下座)
駄文ですが、ルルさんに捧げますっ

50000HIT、リクエスト、有難うございました!

ルル様のみ苦情可。
(お持ち帰りの際は背景の直リンクだけはしないでくださいませ)

             By 紫陽華恋