幼馴染の 家が隣で、小さいときから ずっと一緒で 学校に行くのも、帰るのも一緒で いつも隣に居て、一緒に笑ってて これからもずっと、そうだと思ってた ずっと一緒に笑っていられるって 思ってたんだ――… 届かない言葉 伝わった想い 「おーいっ !テニスしようぜぃ!」 「あ、ブン太…ごめん、今そんな気分じゃないんだ」 「…ふぅん…?分かった!じゃぁまた今度な!」 「…うん」 今思い出せば の様子がおかしくなったのは、中学に入って少ししてからだった。 昔から、一緒に遊ぼうと言えば、二つ返事で笑顔で頷いてくれたのに、 その日は何故か 暗い表情で、ごめん、と首を振ったんだ 『まだ今度』 そう言ったのに、来る日も来る日も、から返ってくる返事はNOだった。 いつの間にか、俺はを誘わなくなっていた いつの間にか一緒に登校しなくなって 気が付けば、中学三年になっていた 会話さえ、あまりしない。 学校でバッタリ会った時に、「お早う」とか「バイバイ」とか それくらい。 そんな日々に、どこか物足りなさを感じながら…。 でも、そうやって時々姿を見るたび、は元気がなくなっていってる様な気がしてた その時は、「気のせいだよな」って軽く流していたけど “その日”は 突然やってきた。 〜〜♪ ある日の部活中 携帯が、忙しなく電話の着信を告げていた 部活中だったから、最初は無視していたけど、しつこく鳴るもんだから、真田に許可を得て、通話に応じた 「もしもし?」 『もしもしっブン太!?』 「何だよ母ちゃん…そんなに慌てて…俺 今部活ちゅ『ちゃんが倒れたのよ!』 「え…?」 『ちゃんが急に倒れて…今、病院に…』 そっからの会話は 覚えてない。 ただ、場所を聞いて、聞いた途端、俺はラケットも携帯も、何もかも投げ捨てて 走り出していた 後ろで真田やジャッカルの声が聞こえた気がしたけど、そんなのは無視して 俺はただ我武者羅に、のいる病院に走った ――バァンッ 「!!」 フロントで聞いた病室に、俺はココが病院だということも忘れて、思いっきり駆け込んだ 「ブ、ン太…?」 の身体からは色んな管が伸びていて、俺の名を呼んだその口も、酸素マスクが付けられていて なんとも、痛々しかった 「…お前、どうしたんだよ…なぁ」 「ブン、太…来て、くれたんだ ね…」 再び紡がれた言葉は、とても苦しそうで 「喋んなッ喋んなくていいから…」 「わた、し…ブン太に嫌われた、と 思って…た」 「んなワケねーだろぃ!?何でそんな…」 「…嬉しい、な…最期に、ブン太の顔…見れ て…」 そう言ったと思ったら、の瞳からは涙がこぼれた 「何言ってんだよ…最期って何だよ?」 目の奥が、熱い。 の言った言葉の意味が分からなくて、…分かりたくなくて、俺は問いかけた 「ブン太…私、ね…」 は俺の問いに答えるでもなく、ゆっくりと、言葉を紡いで 「喋ん…」 「ブン太のこと…好きだよ」 精一杯、搾り出された言葉に 俺の目から、何かが溢れた 「…」 「…」 「……?」 返事が、ない。 刹那 ピ――――――――――― 無慈悲なまでに病室に轟いた電子音 それはの命の…終わりを、告げる音で。 ダムが崩壊した様に、俺の目から止め処なく涙は溢れて 「ッ…!!」 涙は、の顔へと落ちた 俺の涙はの顔を濡らしていって も、泣いてる様に見えた けれど、その表情は悲しみなんかじゃなくて、 どこか清々しく 微笑んでいるように見えた 後から、の母ちゃんに聞かされた は、中学に入ったときから病気を患っていたらしい だから、俺の誘いも断ってたそうだ 運動しちゃいけないってことで、学校でも体育とかは休んで、今日まで過ごしていたらしい そして今日病態が急変して はそのまま、息を引き取った… 失って、気付いた あの、物足りなさの意味が、 ――が隣に居ないから。 多分、ただ それだけ。 に対する感情を、俺は ただの幼馴染としての特別な友情だと思っていたけれど 『ブン太のこと…好きだよ』 最期に、呟く様に言われた あの言葉 あの言葉を聞いて、分かったんだ やっと。 「…俺も…が好きだぜぃ…」 自分の中に、ずっと存在していたを想う気持は、特別な友情なんかじゃなくて 好き 紛れも無い、キミに恋する恋情だった この言葉は、もうキミに届くことはないけれど それでも、キミが居るであろう この空の向こう側に向かって 叫んだ 「ーっ 好きだーーーっ!」 言葉は届かなくとも、きっと、伝わると思う。 俺の 想い。 が好きっていう、この想い “ありがとう” 夕暮れの空から 小さく、キミの声が聞こえた気がした。 END 06/4/08 50000HIT御礼企画 淡雪 晶華 様リクエスト。 死ネタ…得意とか言いながら駄文に変わりはなかった(泣) すみません!こんなので! 駄文ですが、晶華さんに捧げます…! 50000HIT、リクエスト、有難うございました! 晶華様のみ苦情可。 (お持ち帰りの際は背景の直リンクだけはしないでくださいませ) By 紫陽華恋 |