「…あのな、聞いていいか?……何やってんだ」 「………積み木ならぬ、積みプレゼント?」 「人の誕生日プレゼントでか」 「うん。」 HAPPY BIRTHDAY -10月4日 跡部 景吾- ピンッ バラバラバラ... 「あー!!」 「…。」 「ヒドイヒドイ!あともうちょっとだったのにー」 あたしが跡部の机の上に積まれていたプレゼントでピラミッドを作っていた芸術作品(違)を、 跡部はデコピンならぬプレピン(?)で一瞬にして崩してしまった。…ショォオック!! 「ってか人様から頂いたプレゼントをこんな乱暴に扱ったらダメじゃん跡部ー」 「アーン?人のプレゼントで遊んでたお前には言われたかねーよ…」 机に乗せられたプレゼントとプレピンによって落ちてしまったプレゼント… プレゼントというプレゼントを、跡部はとてつもなく面倒臭そうに予め用意しておいたであろう紙袋に入れ始めた。 あたしも手伝ってやろうと思い、まだまだ用意されている紙袋の1つを指差し 「頂戴」 と言った 「…お前な、それでも俺様の彼女か」 「なんで」 「普通こういう時は 『私のプレゼント以外受け取らないで!』 とか言うもんじゃねぇのか?何 快く手伝ってんだよ」 「生憎そんな乙女的思考は持ち合わせていませんのでね」 机付近の全てのプレゼントを紙袋に入れ終えると(3袋にも及んだ!)、 跡部は自分のロッカーへ向かった。たぶん、この紙袋を入れるためだろうけど―――… 「やめといた方がいいと思うよ?」 「なんでだ」 「机以上に凄いと思うよー?ロッカー。」 「…。」 「部室に一時預けたら?元部長のコネでさー」 「…そうだな」 そう言うあたしも元マネージャーだったりするんだけどねん。 跡部は身を翻し教室を出て行った。多分、部室へ向かうんだろう。 きっとその道でもプレゼントは増えていくはずだ。 「…部室に着くころは、5袋くらいになってそうだな」 *** キーンコーンカーンコー...ン 「どうせ部室に来いって言われてるんでしょ?」 「ああ。勿論、お前もな」 「ふふふー、引退した今でも慕われてて嬉しい限りだわー。…でも、跡部生徒会の引継ぎの件で今日なんかあったっしょ」 「…ああ。だから遅れていく」 「分かった。言っとくね」 「頼む」 「じゃーね」 跡部に別れを告げ、先に教室を出た。 向かうは部室だ 「おひさー」 「あっ先輩!お久しぶりです!」 「やっほ長太郎」 「お久しぶりです」 「順調?新部長」 「…それなりには」 長太郎と日吉に挨拶をして、ソファに鞄を置いた。 三年生ではあたしが最初みたい。 「ちゃんとかは?」 「マネージャー達なら今購買へ飲み物を買いにいってます。買い忘れたらしく」 「へー」 ちら、と部室の端っこを見ると、跡部のプレゼントの紙袋が置かれてあった。( 7袋だよオイ ) そのとき、キラーンとあることを思いついてしまった 「あのね、日吉」 「何ですか」 「跡部生徒会の引継ぎの件で今日なんかあるらしくて遅れるらしいんだ」 「…そうですか」 「だから…ちょっと遊ばせてね」 「―――…は?」 *** 「( 一時間も過ぎちまった…早く行かねぇと )」 少し小走りになりながら部室へと向かう。 次の生徒会長候補の野郎が能力も人望もあるわりに飲み込みが遅くて手間取ってしまった。 部室が見えてきたところで、速度を緩めた 部室からは明るい声が聞こえる。 ドアノブに手を掛け、扉を引いた 「あ 跡部!遅かったじゃん!」 まず声を上げたのは岳人だった。 次にジロー、忍足…口々に文句を言う。( 仕事だったっつってんだろ ) そして、部室にある机で1番大きい机に目を向けた 「…何、やってんだ………?」 「跡部!?ちょ、やめてよ!?倒さないでよ?これで最後なんだから!」 は朝と同じように(俺宛ての)プレゼントでピラミッドを作っていた。 そして最後の1つを1番上に乗せる 「出来たぁああ!」 「おーおめでとさん。一時間もようやったなぁ」 「へへん」 得意そうに胸を張る。…また倒してやろうか 「あ!やめてよね、跡部。そのピラミッド、朝とはワケが違うんだから」 「アーン?」 「最後に教えてあげるからさ。これ、現状保存しといてよ」 そう言って笑う。 すると、俺は手を引っ込めてしまう。…惚れた弱みってやつか? 「んじゃー主役も来たことだし、始めようぜ!」 毎年恒例の誕生日パーティ。この間だって宍戸や岳人の誕生日を祝ったばかりだ。 岳人の言葉にみんなが頷き、部室の真ん中にあった机に近づく その机の上に、現マネージャーがケーキやらジュースやらを置いていく 「んじゃー跡部の15歳の誕生日を祝してー」 なぜかジローが音頭をとる。 それに従い、みんながジュースの入った紙コップをかかげた 「カンパイ!跡部誕生日おめでとうー!」 「「 おめでとう!! 」」 ガキみたいだとは思うけれど、俺はこの瞬間は結構好きだったりするのだ(そしてそれを知ってるのは多分だけだろう) *** ケーキもプレゼント交換もすべて終わり、後はもう帰るだけ。 が最後まで残れと言ったので、俺は最後まで残っていた 日吉以外の全員が帰ったとき、は口を開いた 「日吉、ちょっと外出といてもらえる?」 「…遅くなるようなことをするつもりならお断りしますが」 「何考えてんの。すぐだから、すぐ」 日吉も普通の中学二年生なのだと思った瞬間だった(ちーん) パタン。 「…あのピラミッドのすぐ傍に行ってみて」 「…?」 言葉通り、目の前に立った。 …結構綺麗に積まれてる。さすが一時間もかけたらしいことはある。 そして一番上に乗っている箱は…俺の好きなスポーツメーカーのもの。 「その一番上のプレゼントさ、あたしからなんだよね」 …サプライズ。 このピラミッドに使われたプレゼントはすべて、あの紙袋のものだと思っていたから 「…へぇ」 「びっくりした?」 「まぁ、それなりにはな。お前が相変わらず彼女らしくないと再確認した」( どこに他の女のプレゼントに自分のプレゼントを紛れさせる彼女がいるんだ ) 「ひどー」 そう言って笑うの笑顔は嬉しそうだ その表情が、俺は1番好きだったりする 「…受け取って、くれますか?」 そんなの、答えるまでも無く。 「当たり前だろ」 ピラミッドの1番上の箱だけ手にとって、お礼の意を込め一度だけに口付けてから、扉に声をかけた 「日吉!もういいぞ」 ガチャ 「ったく…部室をバカップルの逢引所にしないでくださいよ」 うんざりした顔で言う日吉に、跡部はクッと笑いかける。 あたしもソファにあった鞄を持ち、帰る準備万端。 「今日だけだろうが。それくらい許せ」 「分かってます。…じゃあ、俺は部誌があるので」 「ごめんね、日吉」 「いえ。…良い誕生日を」 そう言って日吉は部室の扉を閉めた。 暗い空。 少し歩けば部室の明かりも遠ざかり、暗がりに2人きり。 この世界に2人だけしかいないような、そんな感覚に陥った。 「誕生日おめでとう、跡部」 「…ああ、ありがとう」 今度は、長くて深い、甘いキスを。 END 06/10/4 すみません。遅れましたオクレしました送れました(だんだん違うよ) 最後らへん強制終了すみません。 多分これ以降ここまで書く誕生日はないだろうってくらい頑張ったがやはりスランプには勝てなかった。駄文だ… 次は……手塚、ですよね?…手塚か… |