そろ〜り そろ〜り 「コラッ千石!またサボるつもりか!?」 「(ビクゥッ) や、やぁ南くん!元気?」 「元気だが精神的にはもう疲れたよ…!(涙) 約二名の問題児の所為でな…!」 「そ、そりゃ大変だね。同情するよ。…じゃ、またねん♪」 「…っ同情するなら部活でろー!」 今日も苦労人兼部長、南 健太郎の叫びは山吹中テニスコートに痛いほどに響き渡ったのであった。 HAPPY BIRTHDAY -7月3日 南 健太郎- 「…うるせぇ」 「亜久津…!お前も一応部員なら部活に出ろ!」 「あ゛?」 「(ビク) …気が向いたら来い」 げっそりとした表情でそう言った少年。 彼はさっきも紹介したとおり、この山吹中テニス部の部長であり部活一の苦労人の南 健太郎である。 日々の苦労(問題児二名:テニス部エース(の筈の) 千石清純と不良 亜久津仁)のおかげで彼の胃は今にも穴が空きそうである そして唯一彼の心(と胃)を癒してくれるのは―――… 「アハハ、お疲れさま、けんたろ」 「……ああ、サンキュ」 ( 南曰く )癒しの笑顔と( 南曰く )癒しの声と( みな以下略 )癒しのドリンクの三拍子を揃えて待つ、マネージャー兼幼なじみである だ。 …ドリンクは至って普通のものなのだが、恋は盲目と云うものだろうか、南にとっては最高級品なものらしい。 「( ああ…美味い…癒される… )」 その( み以下略 )最高級ドリンクで地味に癒されていると、やって来た相方 「…お前、に告白しないのか?」 「………東方」 「明日、お前の誕生日だろ」 「いや、まぁ…それはそうなんだが」 見た目も思考も地味( 寧ろこれこそが正常:常識人 )な彼は行動も地味なのかどうかは知らないが、 告白という思い切ったモノは簡単には出来ないらしく渋っている 「そろそろ、幼なじみは卒業したらどうだ?」 同じ地味'sである東方にそんなことを言われ南は東方を睨むが、実際 かなり悩んでいた。 南だってお年頃( 死語 )なのだ。 そろそろただの幼なじみというのはご遠慮願いたいし、その関係でこうも距離が近いこともまた苦痛である 「…そうだなぁ…」 明日は偶然にも部活は休み。 …どうしようか、と溜息を吐いたところで、亜久津が壇に連れられて( 引っ張られて )コートに入ってくるのを視界の端で捕らえた。 *** 「( …言おう )」 7月3日。 学校から帰って来て夜までの間、ずっと考えていたこと。 それは紛れもなく、想いを寄せる彼女へ想いを伝えるか否か、という選択だ どうやら結論は、伝えることにしたらしい。 毎年誕生日は家族とというメンバーで誕生日会というものが行われてきた。 中学三年生にもなった今でもそれは変わらない。 きっとずっと変わらないだろう。 午後6時半 もうすぐ、彼女が来るはず。 ピンポーン 家中に響き渡った呼び鈴の音。 南の…( いやこの家では全員が南なので )健太郎の心臓はこれでもかというくらいに跳ね上がった。 * 「いつ食べてもおばさんの料理は美味しいです!」 「ふふ、ありがとうv」 例年通り、母の腕によりを込めて作った健太郎の好きな食べ物の数々を各々突きながら、食事会(基、誕生日会)は進んでいく。 そして気が付けば夕食は終わり、ケーキタイムへ。 「ハッピーバースデートゥーユー♪」 恒例定例。 バースデーソングを聞きながら、健太郎はまるで他人事のようにそれを聞いていた。 それでも歌い終わった瞬間にキチンとろうそくの火を吹き消す辺り、かなりの常識人と言えるだろう 「あ、ねぇ けんたろ。プレゼント渡すからちょっと来て来て!」 不意にに呼ばれ、けんたろ(ぁ)はドクンと心臓を高鳴らせる 内心ドキドキしまくりながら、表面は冷静を( それはもう必死に )装ってに着いていく 辿り着いた先は、我が家の庭だった。 「ほら見て。星が綺麗でしょ」 “キミの方が綺麗だよ” ありきたり過ぎる台詞が思い浮かんだけれど、健太郎にそれを言う勇気はなく。 千石ならサラっと言えるんだろうなぁと思いつつ溜息を吐いた 「はい。誕生日おめでとう!」 そう言って手渡されたのは、ラッピングが施された小さな袋 一応「空けていい?」と問うて「良いよ」と許可を得てからその包みを空けていく 「あ…山吹( 中テニス部 )カラーのシリコバンド…( と胃薬 )」 今流行のバンドは良いとして、最後の1つが気になりつつもありがとうと微笑んでおく も穏やかに微笑んだ ドキン ―――今だ! 「あ、あの俺」 「来年も」 「へ?」 一大決心して想いを伝えようと口を開いたが、それは言葉にならず。 「来年も、こうやって一緒に隣に並んで星を見ながらおめでとうって言えると良いな」 そう言って綺麗に微笑まれてしまえば、今はこれで充分かもしれないと思ってしまう 「…ああ」 とりあえず来年も一緒に居れることを願って、そう、呟いた ***** そしてその事を 南→東方(無理矢理)→千石→テニス部という経路で部活中に広まったため、 を除くテニス部員の視線がとても痛いものになったのであった( 南がLOVEなのは公認らしい ) …も南LOVEなのも公認なのを知らないのは、本人の南だけであったりもする。 「やっほ〜南!告れなかったんだって?だから地味'sなんだよー」 千石にそう言われて南の胃の痛さが頂点に達したのは言うまでも無い END 06/7/3 あははははははは(乾笑) 南だよ!南キュンだよ! 峰っ子よりは書きやすかった!(笑) でもやっぱり似非南…orz 愛はあるのに…!結婚したいテニプリキャラNO.1なのに!(ぇ) しかもハッピエンドではあるがくっ付かないという焦れったさ。 ちょ、サドなんかじゃないですから!石投げないで! …あははっ(逃) 次は桃ですね。ああああああキツ…苦手キャラだよオイ…ああああああ ていうか私的に7/23って桃よりオフ親友の誕生日のイメージの方が強いんですよねー…疎かにならんかな |