儚きテーゼの残像に映るは



「泣いてるんですか」


「泣いてないですよ」


「誰の所為で泣いてるんですか」


「だから 泣いてないです」


「…いい加減、諦めたらどうですか」


「………諦められるなら こんな風に泣いたりしませんよ」


「泣いてるんですか」


「えぇ泣いてます」


「…俺の元へ 来る気はありませんか」


「……――――」



















貴 方 の こ と も 好 き だ か ら 、 貴 方 の も と へ は い け ま せ ん 。




















貴女は優しいから 俺を利用するのを躊躇うんですね


それだけ傷付いても


貴女は、1人で静かに泣くんですね



「好きです さん」


「……私は跡部が好きなの」


「俺のことも好きなんでしょう?」


「…好きだから 駄目」


「俺自身が良いと言ってるんです」


「…駄目」


「……いい加減 俺のとこへ来てください…」


「……駄目」


「来れば 貴女も俺も救われるのに」


「…違うよ  若」



















救われるのは 私だけだよ




















貴女の声は あまりに優しく、冷たくて  そして今にも消えそうなほど、儚かった。



嗚呼、あまりに愚かで美しい


( きっとそこに残るのは、涙の欠片だけなのでしょうね )