「なあ!だから付き合ってくださいよ!」
「むーりーだってば!あたしは別に赤也のこと好きなわけじゃないの!」
「でも俺は好きっス!」
聞き飽きたわ!!(よく分からない逆ギレ)」

この言い合いを、何度くり返したんだろう。
5回?いや10回か。もしかすればもっとかもしれない。
軽く言い争いにも聞こえるこの言い合いは、要はあたしが赤也に告られたのだ。
あたしと赤也の関係といえば、親友のブン太の仲のいい後輩。仲のいいブン太先輩の友達、のはず。
けどある日の放課後(ってか今日の今現在だけど)、部活を放ったらかしてまで赤也はあたしに告白してきた。
アンタが好きだと。付き合ってくれと。
真剣な、熱っぽい目で見つめられ、そんな甘い言葉を吐かれ。
ぐらつかなかったといえば嘘になる(ただでさえ無駄にカッコ可愛い顔してんのに!)。
でもやっぱり、赤也はあたしにとって仲のいい後輩。恋愛感情なんて無い。
このまま…仲のいい先輩後輩でいたい。

「とにかく!無理です!…あんまりしつこいと絶交するよ!」
「う゛ぅっ!で、でも仕方ないじゃないっスか!」
「はあ!?何がよ」

あたしの言葉に、赤也は少し泣きそうな顔になりながら。
潤んだ―――けれど、熱を持ち続ける真剣な瞳で、あたしを見つめて。


「俺の心の照準が…アンタから外れてくれねえんスよ…」


「――――…っ!」   ( ドク、ン )

少し恥ずかしげに、けれども真剣に言われた赤也の言葉に、
あたしは何も言えなくて。騒いだ心臓を、ただ、否定することしか出来なくて。

( ち、ちがう。びっくりしただけ。いつもと違う真剣な赤也に、びっくりしただけ、そうだよ、びっくり………っ! )

ちらりと赤也の方を見ると―――やはり、あたしを見つめていた。強い、瞳で。

「っクサいこと言ってんじゃないわよー!!!」
べしんっ
「ってェ!?」

赤也の頭を殴って( でもあんまり力入んなかった )、背を向けて走り出す。全力で。
後ろで赤也が何か叫んでる。でも、止まれなかった。
そして赤也の叫んでる内容を理解したとき、また あたしの心臓は。

センパイー!!大好きっスー!!」
「〜〜あいつ…!……あ、あれ?」

ドクン  ドクン

この胸の高鳴りは、なに。
ああそうだ、びっくりしただけ。びっくりしただけ―――の、はずなのに。


「( だから、 )」


早くおさまれ、あたしの心臓!








瞬殺スナイパー
(キミの心を一瞬で射抜いてあげる!)