ぽかぽか太陽の光があたりを包む なんら変わらない9月のある日 友達と談笑しながら、次の移動教室の用意をする 教科書、ノート、筆箱に下敷き… 全員が用意し終えたところで、みんなで笑いながら教室を出た。
珍しく僕は教室にいて、けれども風紀の書類に目を通していた 廊下にはたくさんの人がいる けれども、わたしの横を歩いていた友達の声が一段と大きく、 キャハハハハ…という笑い声がいやに廊下に響く。 ふと前を見ると、風紀委員長 (…雲雀、先輩) が顔を顰めながらこちらに歩いてきていた
応接室に向かうため歩いていると、前方から騒がしい声が聞こえた ときめいたのも束の間、やばい。瞬時にそう思い、全員を前方の存在に気づかせた すると友達はみんなざあっと顔を青くすると、思い思いの方向へ離れる。 元の場所に残ったのはわたしだけ。つまり、彼とすれ違うのはわたしのみ。 別に恐怖なんてなかった。ただあったのは、彼に対する、淡い感情のみ。
こちらに気づいた1人が全員に合図し、そいつらはばらけた。 すれ違いざまに、初めて、こんなに近くで彼の顔を見た。好きだという感情を抱きつつ、 彼のことを間近でなんて見たことなんてなくて。綺麗で、儚くて―――けれどその目に灯るのは野獣の炎。 いつか、ちゃんと話してみたい。わたしのこと、ちゃんとその視界に捕らえてほしい… ふと、彼の――― 雲雀先輩の背中を見て、そんなことを思った。
すれ違いざまに、思いっきり見つめられた。 |
( わたしは今日も、ひそやかにあなたを想う )
By [ Love Mistake. ] 紫陽 華恋 (200000HIT御礼企画お題作品)