ぽかぽか太陽の光があたりを包む
あたたかい世界の中、わたしは今日もあなたを探す











なんら変わらない9月のある日
友達と談笑しながら、次の移動教室の用意をする
教科書、ノート、筆箱に下敷き…
全員が用意し終えたところで、みんなで笑いながら教室を出た。





珍しく僕は教室にいて、けれども風紀の書類に目を通していた
応接室でしていることと何ら変わりは無い。たまに、ふらりと教室にいたいこともあるだけ。
しかし1枚足りない書類があることに気づき、小さく舌打ちをして、
応接室に向かうために足早に教室を出た。






廊下にはたくさんの人がいる
けれども、わたしの横を歩いていた友達の声が一段と大きく、
キャハハハハ…という笑い声がいやに廊下に響く。
ふと前を見ると、風紀委員長 (…雲雀、先輩) が顔を顰めながらこちらに歩いてきていた





応接室に向かうため歩いていると、前方から騒がしい声が聞こえた
そちらを見ると、それは1年生の女子グループらしく、
女子が4,5人 かたまって歩いていた。それだけでも気分が悪いのに、
大きな笑い声…虫唾が走る。そんな風に思いながらそいつらを睨んでいると、1人がこちらに気づいた






ときめいたのも束の間、やばい。瞬時にそう思い、全員を前方の存在に気づかせた
すると友達はみんなざあっと顔を青くすると、思い思いの方向へ離れる。
元の場所に残ったのはわたしだけ。つまり、彼とすれ違うのはわたしのみ。
別に恐怖なんてなかった。ただあったのは、彼に対する、淡い感情のみ。





こちらに気づいた1人が全員に合図し、そいつらはばらけた。
舌打ちしたくなる気持ちと、やらずにすんだ安心感。
いくら僕でも、女子供相手に手出すなんてしないからね。
面白くもなんともないし。






すれ違いざまに、初めて、こんなに近くで彼の顔を見た。好きだという感情を抱きつつ、
彼のことを間近でなんて見たことなんてなくて。綺麗で、儚くて―――けれどその目に灯るのは野獣の炎。
いつか、ちゃんと話してみたい。わたしのこと、ちゃんとその視界に捕らえてほしい…
ふと、彼の――― 雲雀先輩の背中を見て、そんなことを思った。





すれ違いざまに、思いっきり見つめられた。
面倒だから僕は無視して通り過ぎたけれど…僕を畏れない女子なんて、初めてかもしれない。
いつか、ちゃんと向かい合ってみたい。
ふと、背中に感じる視線に――― そんなことを思った。






ひそやかに、ひそやかに


( わたしは今日も、ひそやかにあなたを想う )




By [ Love Mistake. ] 紫陽 華恋 (200000HIT御礼企画お題作品)