願いなんて謂える程、この思いは綺麗じゃなかった。 希望なんて謂える程、輝いても無かった。
ただの醜い、私の欲望

「ねぇ雲雀。私がもし雲雀の前からいなくなったらどうする?」

あなたにとってそんなことはどうでもいいことだって分かってた。 それでも引き止めるような言葉が聞きたくて、淡い希望を抱いて、その願いを口にしたのだ

「…下らない事聞かないでくれる」

ほら、あなたは顔色ひとつ変えることもしない。うざったそうに、言葉をつむいだ。 分かっていたことなのに、なぜか胸が酷く痛んで、涙が 零 れ た
それを見て雲雀はまたうざったそうな表情を浮かべて、溜息をついた。やだ、やだ 嫌わないで。
伸びてきた手に反射的に目を瞑り、身体を強張らせた

「…馬鹿だね は」

けれど次に聞こえた声は思いのほか優しくて、…優しすぎて。私は静かに目を開く
映ったのは、優しく微笑む雲雀だった

「ひば、」
が僕の前からいなくなるなんて許さない。そんなこと、僕がさせてやらないよ。
 もし誰かがそうするのなら問答無用で咬み殺す。…が自らそうしたいのなら」
「…」
「…そうすることなんて、まずないと確信できるから 分からないよ」

そう。そうだよ雲雀。私はあなたの前からいなくなるなんてことはしない。誰にもさせない。 そうだね、雲雀は分かってたんだね。だから、あんなにうざったそうだったんだね

「わざわざこんなこと言わせないでくれる?今更、でしょ」

そう言って吐かれる溜息さえ嬉しくて、私は無意識に微笑んだ
例えばわたしが


もし いなくなったら


By [Love Mistake.] 紫陽 華恋 (200000HIT御礼企画作品)