いつか来ると分かっていた別れの時。だから最後に言う言葉と、言われたい言葉は、決まっていた。

「景吾っ!」   私が 叫ぶ
「…」   彼は足を止め、目線だけ此方へ投げて寄越した。…私の大好きだった、蒼い め
「っ一度だけ…一度だけでいいから…嘘でもいいから……愛してる…って…」

彼に愛されている自信はあった。確信もあった。でも彼は、一度も私に愛の言葉を囁いてはくれなかった
別れのときにこんなこと言うの、うざい?嫌われる?そんなの知らない。嫌われてもいい、確かな言葉が欲しかった

「…」   彼は私のもとまで戻ってきて、耳元に 唇を寄せた

ねぇ、お願い  冷たい声で

「 愛してる… 」 

私を 突 き 放 し て 。

「ッ…ぅ、…ふ……っ」   耐え切れず 膝から崩れ落ちる。

ねぇどうして。どうしてそんなに 優しい声なの。愛に溢れているの。 いっそ、息が止まる程に 冷たい声で、私を 突き放して 欲しかった 。

「景吾…っ愛して、る…」   さようなら 愛しい人。

彼はもう二度と、振り向くことは なかった。

By [Love Mistake.] 紫陽 華恋 (200000HIT御礼企画作品)