ぽつぽつと、水滴が頬に落ち顔を顰める。雨なんて久しぶりだ。前に降ったのはいつだったか。 雨にそそのかされ綺麗に咲いていた桜はひとつ、またひとつと花弁を地に落としてゆく。 地に落ちた花弁は人々に踏まれ、黒ずみ、綺麗だと言われていたピンク色はどこかへ消えうせ 人々は、ついさきほどまで綺麗だと言っていたことさえもすぐに忘れて、汚いなどとのたまうのだろう。 自分勝手すぎるこの世界で咲く花たちは綺麗だ。この国にしか咲かない桜は、一段と綺麗。 そういえば、いつの日だったか、彼は言った。そう、丁度この季節。 桜が芽吹き桃色に包まれた世界で、人々が皆微笑む中、あなたは1人でひっそりと、寂しそうに笑って――――― 「 どれだけ綺麗に咲いても…芽吹いた花は、いつか必ず枯れてしまうでしょう? 拙者はそれが嫌なんです。 そうしないためには、誰かが……。誰かが、そうなる前に壊すか、そうならないように守るかするしかない。 拙者は、芽吹いた花を守るために、日本へ行きます。ずっと…あなたの傍に、いたかったですが 」 そう言って彼は困った様に、愛おしそうに微笑んだ。そして桜吹雪の中へ、消えていったんだ。 あれからどれくたい経ったのだろう。本当は半年も経ってないハズなのに、何年も経ったような気になる。 ――彼が去った数日後、私も日本へ来た。もちろん彼の居場所なんて知らない。ちゃんとした目的も。 けれど、日本は狭い。私たちの国に比べたら。だから、いつか会えるかもしれないという期待を胸に馳せ、 今日も私は桜の下、人ごみの中に彼を探す。あなたもこの下にいるであろう同じ空を、見上げながら、泣きそうな気持ちがグッとこらえて。 「 ねえバジル…芽吹いた花は、守れましたか…? 」 欲のないあなたが、いつも傍にいてくれたあなたが、私を置いてまでここへきた理由。 桃色の桜たちが、私を慰めるように優しく揺れ、花弁が私の周りを包んでゆく。 あなたは、元気ですか?あなたは、笑えていますか?生きていますか?眠れていますか?ご飯は食べていますか? あなたの目的はちゃんと、果たされましたか? 今日も私は願います。まだ見ぬ芽吹きし花が未だ大きく咲き、その傍であなたが笑っていることを――― |
バジル夢とか初なんスけど!!つか途中国ってゆか桜がごちゃごちゃに…分からない人多数だと思うので放置しますが