いつも、見ていた 「かばじ〜…もう少し寝かせてよー…」 駄々をこねるように抗議の声を上げ 「駄目…です」 けれど容赦なく切り捨てられて 「ケチー」 「…すみません」 そして最終的には肩に担がれて何処かへ消えていく 金髪の先輩を。 氷帝学園中等部 三学年七組 そこに、私は所属している。 そして私の云う金髪の先輩は、氷帝の高等部に通う“芥川 慈郎”とう云う名の、年下の私が言うのもなんだけど、可愛らしい男の人 初めてあの人を見たのは、生まれて初めて サボリをした時だった。 「あー初めてサボっちゃったぁ〜…」 三限目の休み時間に見つけた、絶好のお昼寝スポット それは隣の高等部に面した校舎裏(芝生)で、鉄の柵をヒョイと乗り越えれば、もう其処は高等部だ 「…ま いっか」 友達に昼食を一緒に食べようと誘われたが、断って、 1人 お弁当を持ちこの場所へ来た 昼食を済ませ、少し寝ようと芝生にごろんっと寝転んだ …のだが。 目覚めた時には、既に五限目が始まっていたのだ 「…一度起きたら寝れないなぁ」 独り言を呟き、高等部の方へ寝返りを打った そして 目に入ってきたのは。 「…綺麗…」 金のふわふわな髪を風に揺らし、その瞳は、閉じられていて …とても、綺麗だった。 これが 私の芥川先輩に対する第一印象。 それから、よく見ればその顔はとても整えられていて、開いた瞳はとても澄んだ色をしていたとか その唇から出る声は高三の男にしては高く、可愛らしいとか 後輩の“樺地”先輩にいつも負ぶわれて何処かへ行ってしまうとか。 彼を知るたびに、彼に惹かれていった。 貴方を見ていられるのならば、私は何も望まない 私が高等部へ行っても 貴方は居ないから …何も 望まない。 でも でも、もしも。 彼が、私に気付いてくれたなら。 「…あ キミ、いつも此処にいる子だよねぇ?」 もしも。 鉄の柵の向こう側 |