どくん。どくん。血がなくなっていくのが、リアルに分かる。 どくん。どくん。心臓がどんどんと弱まっていく。身体が、酸素を、血を、水を、―――血を。 欲しているのが、分かる。「(…あー、俺、死ぬのかなあ)」ぼんやり思う。 だって、ほら、もう目を開くことも面倒くさい。だって、まぶたが、重いんだ。 冷ややかな眠りが、迫ってくる。俺を、誘う。闇が、俺を、迎えに。 「( …死 )」 目を閉じる。 それが俺の行く末なら、それで、いい。だって、彼女は俺のものじゃない。いつまでも手の届かない存在。 なら、別に、死んだって。寧ろ、手の届かないもどかしさや苦しさに苛まれて生きるくらいなら、 静かに1人、死んでしまうほうがましかもしれない。ねえ、、    「( 愛して、る ) 」
「支葵!」
刹那聴こえた声。愛しい 声。俺が今、サヨナラしようとした 声。 重たいまぶたを開けようと試みるも出来なくて、耳を澄ます。 けれど、もうその声は聞こえなかった。「(空耳、か)」そう思い落胆、よりは納得し、再び眠ろうとすると、 ドクン、と 冷たくなりかけていた身体に、急に熱が篭った。これは何。否、俺は知ってる。 これは、の 血 「っ…」 「支葵!あたしの血入れたから、もう大丈夫よ!」
ああ、もうまぶたがあがる。ゆっくりと、ゆっくりと目を開くと。

映ったものは
( ま ぶ し さ に 滲 む 世 界 の 中 で 、 俺 が 最 初 に 見 た も の は 愛 し い 君 の 、 泣 き そ う な   笑 顔 )