いつでも、5月25日というは厄日なのかもしれない。あろうことか、あの雲雀 恭弥に気に入られたどころか
風紀委員にされてしまった( 美化委員だったのに! )。とりあえず私は隙を見て逃げ帰ってきたのだけれど、
家に着いてハッとした。こんな風に逃げてきたら明日私の命が危ないかもしれない。
でも今更戻れない。というか、どうせ風紀委員なんかなりたくないんだ。もうどうでもいいや 「…」 期待半分不安半分に チラリ、と家電を見た。 …うちの両親は、私が中学一年生になった5月25日に、2人して 外国へ仕事に行ってしまった。帰る時は電話するわねという言葉を信じ、私はあれから毎日家に帰っては電話を見ている。 それでもこの1年間電話なんてこれっぽっちもこなくて、殆ど諦めていた。けれど 「…!」 留守電の部分が光っている。まさか まさか。私は躊躇う事無く留守電再生のボタンを押した 『 もしもし、僕だけど。明日、服装チェックがあるから朝8時には校門に来てね。来ないと噛み殺すよ 』 留守電から聞こえてきたのはあの雲雀の声だった。両親じゃ、なかった。 勿論落胆の心はあった。けれど、それよりも 「…何で、こんな 優しい声なの」 言葉と比例していない優しい声に、私は泣き崩れてしまった。電話を待つことちょうど1年、 望んでいた相手ではなかったけれど、なんだかとても嬉しかった。嬉しくて、風紀委員も悪くないなんて思ってしまった 「…明日、朝8時に校門、ね」 その言葉を反芻してから、私は留守電解除のボタンを押した 留守電から、柔らかい声
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