貴女はとても綺麗だった。綺麗で綺麗で、澄んだ透明の色をしていた。 そう、僕とは正反対の。汚(けが)れも穢(けが)れも知らない、綺麗で、純粋な貴女。 「骸、どうしたの?」 「…何でもありませんよ、」 貴女は綺麗過ぎて綺麗過ぎて、僕とはあまりにも違いすぎた。 それなのに僕は貴女を愛してしまい、貴女も僕を愛してくれた。 でもそれは本当の僕の色を知らないからでしょう?貴女の前では僕はいつも言い表せない暗い色から、 限りなく白に近い胡粉色に変えるから。それでも、白には辿り着けないのだけれど。 僕は白にさえなれないのに貴女は白どころか透明だ。だから少し触れるのにさえ躊躇いを覚える 穢れないで、僕の色に ただそう願いながらキスを待つ貴女の唇に僕のそれを落とし、啄ばむように口付けを繰り返して。 透明が淀んでいくのを感じながら僕は貴女に触れる 。 貴女は僕の闇を受け入れてくれますか? 「――――ねぇ骸、知ってる?」 「…何ですか?」 「透明と紫黒色が混ざり合ったら、きっと」 丁度いい、淡くて透明な、灰色になるんだよ 穢れないでと願いながら、 ( 貴女は知らない筈の僕の本当の色を知っていたんですね )( そして僕の望む言葉をも知っていたんだ )
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