「仁王っ!遊びに行こう!」



「は?今日は家でゆっくりする言うてたんは誰じゃ…」



「正真正銘この私!でも行きたくなったの!ね、行こう?」



「…はぁ…」






面倒臭いと思いながらも渋々頷く俺は やっぱりコイツが好きなんだなぁと痛いくらいに実感させられた
















おひめさま















「で、行き先は?」


「んー?まずは遊園地」


「(まずは…?)了解。」






そしてやってきた遊園地。


俺はの赴くままに従っていたが、流石に絶叫系を5連続で乗らされると色々とキツイ。


「そろそろ絶叫系はやめろ」と声をかけると、今度はコーヒーカップ。


何でコイツは気持ちの悪くなるものばかり乗りたがるのだろうか…と思いつつ口には出さない


それどころか、ちゃんと一緒に乗ってやる。


…俺は典型的な「惚れた女には弱い」タイプだろう





そして次に入ったのはオバケ屋敷


と言ってもコイツは怖がるなんてことを知らず、ずかずかと突き進んでいく


暫くして明るい場所へ出れば、




「全然怖くなかったね 面白くなかった。噂通りじゃん」




噂で聞いていたのなら入るな とも思ったが、やはり言えなかった。





それから暫く色んなアトラクションに乗って、そろそろ夕方になった頃





「そろそろ出よ!仁王の家の近くの公園で一休み〜」


「…ピヨ」




どこまでもマイペースなに呆れつつも少し口角を吊り上げる




だから俺はコイツが好きなんだ



















「あー楽しかった」


「俺は疲れたけぇ」





公園のベンチに座り、赤に染まりゆく空を見つめていた





「んー…でも、仁王ってホントに嫌なら文句言うし」


「…別に嫌な訳じゃなか。つーか、そんな事一言も言っとらんじゃろ」


「そうだねぇー …あれ」





何かに気付いたようには立ち上がり、ある木へと近づいた


そして、見上げる






「猫…」


「ん?」






の呟きに俺は怪訝な顔をしながらも、へと近づいた


同じ様に、木の上を見上げる






「猫、だよね」


「猫、じゃのう」






そこには、昇ったはいいが降りられない、というような猫が一匹。


なんともありきたりな光景だ





俺が昇ろうと、木に手を伸ばすよりも早く。


が、木に手を掛けた







「っ、おい…」


「仁王はちょぉっと待っててねー」


「…」







そして、悠々と昇り始めたのだ



…コイツ、本当に女か?



まぁ今日はスカートではないので俺も特に何も言わないが






「もう怖くないよ〜おいで チッチッチッ…」




猫を宥めながら、自身へと近づけ、その小さな身体を腕に収めると、木を降り始める




「気ィ付けんしゃい」


「分かってるよー」




…なんか またありきたりなことが起こりそうな気がする。








ズルッ



「あ」



「!!」










ありきたりすぎる。



頭の中ではそう冷静に思っていたが、俺は即座に駆け出し落ちてくるの身体を抱きとめる








「あ…あはは…ありがと 仁王…」


「…プリ」


「えへへ」


「お前がありきたりすぎる」







優しく地面に下ろしながら、俺は呟くように言う


は「そうかなー?」と言いつつ、しっかりと腕の中で抱きしめていた猫を放していた







「…帰るけぇ 早ぅ来んしゃい」


「はーい」







自然と繋がれた手






「…お前みたいなおてんばの彼氏は、俺以外には務まらん…疲れる…」



「じゃあ、ずっと仁王が私の彼氏でいてくれる?」






そう言って、は小首をかしげた



















「――当たり前じゃろ」



















大事な大事なおてんば姫



















俺の―――…誰よりも大切で愛しい、お姫様。




























END





06/5/20

葉月 様リクエスト。

…駄文だ…orz
仁王…おてんばな彼女に振り回されてるでしょうか

まぁ、小説はアレですが…リクエスト有難うございましたっ

葉月様のみ苦情可。
(お持ち帰りの際は背景の直リンクだけはしないでくださいませ)

             By 紫陽華恋