すき、すき、すき。 何度言えば、何度想えば あなたにこの気持ちのすべてが伝わるのだろう。 世界中の誰よりも、愛しいキミへ。 氷帝学園中等部 三年 同じクラスに、大好きな人がいます 「−数学のプリントやった?」 「狽ヘぅあっ や、やってません」 「見せて欲しい?」 「うん」 「ほな、『見せてください 侑士様』って言うてみ?」 「…み、『見せてください 侑士様』…」 「おりこうさんやな。はい、ドーゾ」 「…ありがとうございます…」 其の名も忍足侑士。 以前は、氷帝の天才…くせ者…千の技を持つ男、なんて 今こそは3年で引退してはいるものの、テニスでは結構有名だった。 ウチの学校はテニス部自体が人気もあるし実力もあるから、その中でもレギュラーであり、 容姿もそこらへんの男子よりは格好よかった侑士は当然、引退した今でもモテるわけで。 そんな奴のことを想っているあたしの不安は途切れることなく 胸に降り積もっていってる 「あ、!英語のプリント見せて!」 「…『見せてください 様』って言ってミソ?」 「(ミソ?)………『見せてください 様』…」 「よろしい♪」 それでも、侑士の友達…いや、親友に近いくらいの、他の女子よりは侑士に近い、この位置。 嬉しいけど…逆に切ない。 一番近くて、一番遠い…そんな感じ。 「で、どー思いますか岳人クンっ!」 「俺に聞くなっ!」 「でも、侑士と一番仲良しじゃん?だからさー何かワンポイントアドバイス!くれない?」 「えー…」 岳人とは、1年、2年と同じクラスだったから、仲がいい。 3年になってクラスが別れて、侑士と同じクラスになって…見事惚れちゃいました な今日この頃。 今日は放課後、岳人のクラスにて侑士のことを相談中だ。 「(実は侑士ものこと好きだなんて気軽には言えねぇし…てか侑士に怒られる…言うなって言われたし…)」 岳人がそんな事を考えてるとも知らず、あたしはう〜んと頭を悩ませていた。 「あ もうこんな時間じゃん!帰ろうぜ」 「そうだね」 「しゃーねーな、送ってってやるよ!遅いし暗いしな」 「お願いしまーす」 二人で教室を出て、階段を下りる。 ――カツッ、 「?」 足音が聞こえた気がして振り向いたけれど、そこには誰も居なくて。 「どうしたんだー?」 「…ううん、なんもなーい」 あたしは気にせず、岳人を追って階段を駆け下りた。 「と… …岳、人…?」 その足音の主が、侑士だったということにも気付かずに――… 次の日、教室に入ると、侑士はボケッと窓の外を眺めていた 寒い空気に、侑士の吐く息は白く、その横顔はとても様になっていた。 「侑士おはよう。どうしたの?」 話しかけると、侑士は一瞬ビクッとした様にあたしの姿をその目に捉え、また窓の外へと視線を戻した 「…あんなぁ、」 「ん?」 ゆっくりと口をあけて、侑士が話し出す 「俺…失恋してん」 「…え?」 小さく、とても小さくポツリと呟かれた一言。 (失恋…ってことは侑士…) 「誰か…好きな人、いるの…?」 あたしの声は、少し震えている。 「…ん。 昨日…偶然、彼氏と居んの見てもうて…『あ、やっぱ付き合ってたんや』って… …ずっと、怪しいとは思っててんけどな」 「うそ…」 失恋?侑士が?ほんとに? …ってことは、あたしも失恋したようなもんじゃん… 「…っ、…」 「その、好きな人な…」 あたしの涙にも気付かず、侑士は続ける 「自分やねん。…」 「……………え………?」 涙が、引っ込んだ。いやマジで。 「ちょ、ちょっと待って、侑士…」 「ごめんな、迷惑な事言うて… 、岳人と付き合うとんのに…」 「はぁ?」 「いや、えぇねん、分かっとるから」 「侑士、話を「慰めはえぇ。覚悟しとるから」 侑士が、あたしの言葉も聞かず喋り続ける。 いや、ちょっと聞いて下さいよお兄さん 「侑士、だからね」 「岳人と仲良ぅしゃ。二人とも俺の大事な人やねんから」 「ゆう「ほなな」 「侑士ッ」 また、涙が溢れてきた。 「聞いてよ…侑士…」 「え、ちょぉ待って…なんで泣いとんの、…」 「お前のせいだバカヤロー眼鏡がっ!」 「狽゚がね!?」 涙が止まらない。 何で? さっき、引っ込んだはずなのに 「少しはあたしの話聞きなさいよ!んでもって、誤解すんのはやめて!」 「何が誤解してるっていうねん?」 「まず、あたしと岳人は付き合ってない!」 「は?やって昨日二人で夜遅ぅまでガッコ居って一緒に帰っとったやん」 「あれは相談してただけ!侑士のこと!」 「…俺…?」 自分の名前が出たことに驚いたのか、侑士は黙り込んだ。 「あたしは侑士が好きなの! だから、それを岳人に相談してた」 「狽ヲぇ!?」 悔しい。 あたしはこんなにも侑士が好きなのに、何で全然わかってくれないの 何で岳人と付き合ってる、なんて、…思うのよ… 「ウソや」 「ウソじゃない」 「絶対ウソや!」 「ウソやない言うてるやろっ」 「(矧ヨ西弁!?)」 「ばか…なんで信じてくれないの…」 好き スキ すき。 ばかみたいに、アンタが好きなの 「…ほんま、に…?」 「ほんまだよっ」 何度言えば、何度想えば…あなたにこの気持ちのすべてが伝わるのだろう あなたの為にどれだけ泣いて、どれだけ笑って… どれだけあなたを愛しいと感じたのか… どうすれば、あなたに全て伝わるのだろう? 「ほんま、なんか…」 侑士は自分に言い聞かせる様に再度呟くと、半ば放心した様に、あたしを見つめた 「…」 「…なに」 「好きや」 「…」 「好きや 」 「…うん」 「好き…」 「うん…」 侑士の胸に飛び込んだ。 両思いだと、実感したくて。 侑士は少し驚いたけど、すぐに抱きしめ返してくれた。 あったかい… 「侑士」 「…」 好きだよ 世界中の誰よりも、愛しいキミへ。 愛してる (花弁雪が、静かに私達の上に降り注いだ) *オマケ* 「ヒューヒュー♪おふたりさん!」 「「!!」」 「ここ教室だって忘れんなよー」 「「…!!」」 「見せ付けんなよなー」 「「(恥ずかしい…)」」 END 06/3/14 斎樹 香 様リクエスト。 うぎゃぁああ… 切ないを目指しました…えぇ、無理矢理目指しましたとも(苦笑) ていうか後半甘…甘すぎ とてつもなく駄文ですが…!!香さんにお捧げ致します! キリ番&リクエストありがとうございましたっ 香様のみ苦情可。 (お持ち帰りの際は背景の直リンクだけはしないでくださいませ) By 紫陽華恋 |