貴女だけを...




























今日だけは




























「ちょた〜ちょた〜」

「はっはい!さん!何ですか?」



部活前。

部室で着替えてると不意に外から俺を呼ぶ声が聞こえて。



「いや…図書室でね、ほしい本があったんだけど…」


少し恥ずかしそうに言葉を紡ぐさんに、思い当たる節が一つだけ。


「もしかして…」

「そう、その通り。…届かないの…」

「分かりました、俺が取りますよ」

「!ありがとうっ!ちょた大好き!」

「あはは…ありがとうございます」






さんは、少し背が低くて、可愛い人。

三年生で、宍戸さんと同じクラスで…俺の彼女。







「えっとね、『切なさと涙とエ○ソン』って本なんだけど…」

「(切なさと涙と…エジ○ン!?)…あ、これですね」

「ありがとう!」




エジソンが気になって仕方が無かったけど、とりあえず本を手にしてさんに手渡す


にっこりと笑ってお礼を言った彼女に、俺の胸は高鳴る。




「…それ、どんな本なんですか?」

「ん?えっとね、○ジソンが主人公で…」




どんどん早くなる鼓動をかき消すように俺は適当に話題をふった。


さんは少し考えるようにして話し出した
































…すみません、さん




全然話が頭に入ってこない。















「…っていう話なんだ!」

「そ、そうなんですか」

「?ちょた…どうかした?」

「狽ヲ!?な、何でですか」

「何かおかしいよ?ちょた…」





心配そうに俺の顔を伺ってくる。

身長で、必然的に上目遣いになる彼女。

俺を、心配したその表情と言葉。




「私に何かできることがあったら言ってね?」




…ヤバイ。

本気でヤバイ。




「ちょ―」

「少し、黙ってください」





さんの言葉を遮って、その小さな体を俺の腕の中に収めた。


…俺の、この早い心臓の音…聞こえてるだろうな




「ちょ、ちょた??」




戸惑いながらも、全然嫌がることなんてしなくて。















「…好きです、さん」


「えっ…」


「好きです」














言わずには、いられなかった。





胸に当たるさんの頬が熱を帯びてゆく。


それと同じくらい、俺の顔も熱くなってゆく















「…私も、好きだよ ちょた」















少し恥ずかしそうに言ったさんの言葉は、しっかりと俺の耳に届いて。















強く、強くさんを抱きしめた。






























































今日は、今日だけは。















テニスのことも、バイオリンもピアノも、全部忘れて






























































大好きな貴女を…さんだけを、想わせて下さい。




























END





06/2/14

夏夜 様リクエスト。

遅くなって申し訳ありません…!!
しかもこんな駄文で…
甘くなってるんでしょうか…
チョタは書き慣れません(笑)

夏夜様のみ苦情可。
(お持ち帰りの際は背景の直リンクだけはしないでくださいませ)

             By 紫陽華恋