いつも傍に居た。 居るのが、当たり前だと思っていた。 好きとか嫌いとか、彼氏とか彼女とか、寧ろ女とか男とか関係なく。 ―――でも、違った いつも側に。 「ブン太…あのね、私…彼氏、できたの」 控えめに、は俺にその言葉を伝えた。 「ふーん」 ただ、その一言だった。 だって、俺は別にのことが好きなわけじゃない。 好きだけど、そういう恋愛感情の好きじゃない。…と、思っていた。 「だから…これから、一緒に学校行ったり昼食とったりできなくなった」 「…そっか、分かった。」 「うん、ごめんね」 「いいって別に」 本当に、そう思ったんだ。 別に、何も問題はないって。 ――けど。 「(…なんか、変。)」 朝、一人で登校する。 今までは、ずっとが一緒だったから、何かが変。…違和感がある。 もうすぐ学校。 眠くて下を向いていた顔を上げると、 「(…と仁王!?…彼氏って、仁王のことだったのか…)」 ズキン 何故か、胸に経験したことのない痛みが走った。 その時は それが何なのか、まだ 分からなかったんだ 「仁王がね…今度遊びに行こうって、デートに誘ってくれたんだ」 「へぇ 良かったな」 「…なんか最近、ブン太冷たい」 ズキン ズキン 胸は、日々痛みを募らせてゆく。 特に、の口から、仁王の…が好きなヤツのことが、紡がれる度に。 ――だから、分かった …やっと、分かった。…分かって、しまった。 この痛みの意味も、 傍に居ることが、当たり前なんかじゃなかったってことも。 「…好き…」 「え?」 「が、好き」 「っ…ブ、ン太…?」 「やっと…気付いた 俺は…お前が好きだ、」 困らせるだけだと分かっていたのに。 こらえきれずに伝えてしまった、俺の本当の気持ち。 即答でフられると思った。 なのに。 ―――ポタ ポタ ポタ… 「…なに 泣いてんだよ…」 は、涙を流していた。 俺を真っ直ぐに見つめて、涙を拭うこともせずに。 ――そして、言ったんだ 「…もう、遅いよ…」 ただ、そのひとこと。 …刹那、は走り去った。 俺はその言葉の意味が分からなかったけれど、後で、仁王に聞いて分かったんだ 「は…ずっとブン太のこと、好きじゃったけぇ」 「え…?」 「俺はそれを知りながら、にコクった。俺が忘れさせたるて言うのぅ」 「…」 「そんで…つい先日。ほんまに、ちょっと前じゃ。 ブン太も分かっとるじゃろ?俺とが付き合いだした日。 …俺は、の中からお前を追い出すことに成功したきに」 「…っ…」 「気付かんかったお前が悪い。 の気持ちにじゃなくて、お前自身の気持ちに気付かんかった、お前が。」 「…あぁ…」 「俺は謝らんぜよ けど、ちゃんと誓うからの は、俺が倖せにしちゃる」 「…うん」 なんで、気付けなかったんだろう。 こんなにも、俺はが好きなのに。 いつも傍に居て…それが当たり前だと思って… 目に見えることしか分からなくて、 自分の中の気持ちに、気付けなかった。 だから、俺にはたぶん もう…を倖せすることはできない けど、 想う事は 想う事くらいは できるから。 赦されるから。 「…ごめん …愛してる」 ただひっそりと、君を想うよ。 ( 何かを1つ失えば、何かを1つ知ることになる。失ったものが大きいほど、知ることも、それだけ大事なことを知る ) (そして人は、成長する) |