関東大会決勝 立海大付属 VS 青春学園






ダブルス2、1と立海が制し、立海の優勝まで、残り1勝となっていた






「お疲れ…仁王っ柳生!」


「サンキュ、

「有難う御座いますさん」






二人にタオルを渡し、ドリンクを二人の横のベンチに置く。






真田がどこかに行こうとするのを見て、「もしかして」と、真田に駆け寄った






「真田っ!」

?何だ」

「精市に…電話するの?」

「…そうだ」

「…」




無言で真田の後をついて行く

真田も何も言わず、静かな場所へと二人とも終始無言で向かった




































真田が携帯を取り出しダイヤルを押そうとした時、あたしは口を開いた

















「…今、テニス部には…応援団も居て…観客もいて、みんなも居て…」


「?」


「みんなに応援されてる

 けど

 精市は…一人だよ」


「…幸村は 一人でも大丈夫だ

 みんなだって、此処から幸村の応援だってしている」


「違うッ

 みんな分かってないんだよ 精市は無敵だって信じてる!

 そりゃ無敵だよっテニスでは!でも…

 精市だって一人の人間なんだよ…手術前に…不安が無いわけないじゃない…」


「…」






真田は無言でダイヤルを押し、精市のいる病院へとかけた





「金井総合病院ですか  はい、はい…幸村精市という少年をお願いします」





( 精市は一人だ

 いくら強い精市だって、手術前なんて…絶対 不安

 でも強がって…一人で大丈夫なフリするんだ )





「…ああ 幸村か」

『試合の方はどうだ?順調か?』

「無論だ 予定通り勝ち進んでいる

 心配無用だ!」

『そうか!こちらも予定通り手術を受けることになった

 もう 迷いはない』





風にのって電話の向こうの精市の声が届いた



あたしは顔をバッと上げる。




( また、強がって…! )






「真田、ごめんッあたし、精市のところに行く!」

っ」

がそこに居るのか?』

「あ、いや…」

『…声を 聞かせてくれないか…?』

「……悪いが それはできない」

『どうしてっ』

「…は お前の元へ向かった」

『え…』

「我らも手術前にはそっちへ向かう。関東優勝の土産を持ってな!」

『…ああ』




































「精市ッ!!」

…!ほんとに来てくれたの」





病院に駆け入ると、待合室の椅子で精市が待っていてくれた




「大丈夫?」

「フフ…何が?手術はまだだよ?」

「…その、精神的に」

「……正直、ちょっと不安だったかな

 でも、が来てくれたから…キミの、声が聞けたから もう大丈夫だ」




そう言って微笑んだ精市の表情は、迷いなんてなくて。



あたしの目からは、堪えきれなかった涙が零れ落ちた





「…絶対、治してよ」



「当たり前だろう?」




不敵に微笑んだ精市に、あたしは精市の胸に顔を埋めた




「強気」


「病気にはいいことだろ?」


「自信過剰」


「何それ ヒドイな」


「好き」


「…俺も好きだよ、












あたしから、全部生気を持ってっちゃっても良いから











…」


















このキスで、少しでも精市に パワーが分け与えられますように。




































君のを聞かせて?


















(キミの声は呪文だ  キミの声を聞くだけで、俺は酷く安心できる   俺は誰よりも、強くなれる)