嫌われる覚悟




一年のときからのレギュラーに
早くから監督に力を見込まれ次期部長と謡われ続け
その通り部長になり
生徒会会長もこなし
女子にもモテて。


嫌われる覚悟なんてものは、とうにできていた。


跡部家という家紋のもとに生まれた立場柄、完璧でいるのは義務だった。
人の上に立つことも義務だった。
容姿も恵まれてしまったがために女子に人気が出て、
成長していくにつれ特に同姓からは嫌悪の目で見らることも多くなった
それでもそんな視線に負けたくは無いから、完璧でい続けた。

完璧な人間なんて、存在しやしないのに。

俺にも欠点くらいあった。自分にも気づけないほどの、小さな。
それに気づいたのは偶然3年で同じクラスになり、偶然隣の席になったひとりの女


「疲れない?たまにはさ、吐き出したら?」


ストレスや不満を吐き出さないこと。
これが俺の欠点だった。

それが続くとストレスたちは募りに募ってある日爆発したりする…とその女…に言われ、
俺は時々だが、吐き出すようになった。
唯一俺の欠点を知っている、に。

は聞いてくれたし、のストレスや不満も俺が聞いた
も似たような人間だったのだ。俺と。俺を見ていて、自分の欠点に気づいたらしい。

それから、俺たちは互いに補い合い生きていた。そして、これからも生きていく



の左手の薬指に光る俺が渡した指輪に誓って、共に助け合い生きていき、共に幸せになると誓う。
今度は嫌われる覚悟じゃない。幸せになる覚悟を、胸に秘めて。