気まぐれな君




「そーうごー」
「何ですかィ、サン」
「おやついるー?」
「いりやせん」
「そーかー」

総悟は気まぐれだ。
まるで、猫のように。

「…サン」
「どしたの、総悟?」
「やっぱいりまさァ」
「ん、はい あーん」

そう、こういう風に。とっても、気まぐれ。

「美味しい?」
「ん」
「良かった」

そう微笑むと、総悟は私の隣に腰掛け、そのまま私の足の上に頭を乗せ寝転んだ。
つまり、膝枕状態。

総悟は滅多に触れさせないし、触れてこない。
だからこれも総悟の気まぐれなのだろう。
私はそんな気まぐれに何度も振り回されているけれど、それさえも愛しく、嬉しいのだ
総悟が好きだから。

気まぐれな君。愛しい君。