生まれた人、 静かに零れる木漏れ日に目を細めて、読んでいた小説に視線を戻す 隣に座ってぼーっとしていたが、何気なしに口を開いた 「また、戸魂界に たくさんの人が、来たね」 「…ああ」 「多くの人が、死んだんだね」 「…だから、来るんだろ」 「分かってるよ。でも、悲しいね」 「…。俺たちも現世で死んだからここにいるんだぞ」 「分かってるよ。…でもね、冬獅郎」 「あん?」 「多くの人が死ぬと同時にね、多くの人が 生まれるんだよ」 そう、それは魂の連鎖。 途切れることはない、永遠の自然の理。 「…ああ」 逝く人生まれ出人 どうか 「幸になって、ほしいね」 |