「雲雀さんは犬派ですか、猫派ですか!?」

応接室の扉を開けたら見飽きた顔があった。…どういうこと、草壁。何で勝手に入れてるの。 …ああ、そういえば草壁は目の前で尻尾を振ってるこいつのこと気に入ってたなとか考えて溜息を吐いた。 草壁は顔に似合わず小動物が好きみたいだ。目の前の女も、確か身長は145cmらしい( 身体測定の日に要らない報告にきた ) とりあえず犬か猫かに表すとしたら間違いなく犬であろう少女はテーブルの上に仕事を置いておけば勝手にこなしてくれるので助かるのだが、 必ず見返りを求めるので厄介だ。まぁ毎回ウザいからとは言え飴を与えてやってる僕もどうかと思うけど。 ( しかも今日もしっかり仕事終わってるみたいだね )

「…( また下らないことを言い出した )」
「ねぇねぇ!犬ですか、猫ですか!?」
「…下らない。答える義理はないね」

答える気はないけれど、まぁ、どちらが好きかと問われれば迷うまでも無く僕は犬と答えるだろう( あ、そこのキミ、猫だと思ってたでしょ )
猫は勝手気ままなところはいいけれど、結局は寂しがりで、仲間同士でつるむ。街中を徘徊している野良猫たちがいい証拠だ
犬は人間を好いてはいるし、人間に懐くけれど、仲間同士で集まったりはしない。野良犬だって、大抵一匹でうろついているからだ

「私はですねー、猫が好きですよっ」
「( 聞いてないよ… )」
「何でかって言うとですね、雲雀さんが猫みたいだからです!」

ヒュオ

キャー!!あ、危ないですね!危険物は振り回しちゃいけないって幼稚園で習いませんでしたか!?」
「…キミが下らないこと言うからだよ」
「お気に召さなかったようでごめんなさい。でも、私は雲雀さんは猫だと思いますよ」
「…。」
「でも、雲雀さんはズバリ犬が好きでしょう!」

…何でキミはそういうとこ鋭いかな。( 僕を猫って言ったのは許せないけど )
キミは犬だ。絶対に犬だ。ご主人様に忠実な。( そして不本意ながらキミにとってご主人様は僕なんだろう )

「雲雀さん、大好きですよっ」
「聞き飽きたよ」

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