私は知ってるんですよ。雲雀さんは、本当は優しい人だって。そう本人に言っても殴られるだけだし 他の人に言っても信じてもらえないだけだからひっそり私の心の中に秘めておくけれど。

「あのさ、早く帰ってくれない?」
「嫌です」
「…。ハァ」

それも優しさだって知ってるから、どんどんあなたを好きになっていく。そうだよね、もう、外暗いもんね。 十人並な容姿の私だって夜道は危ない。雲雀さんはそれを心配しているんだ( 心のどこかできっと )。 けれどそれが嬉しくてあなたをもっと好きになって傍にいたくて、あなたの心配に応えられずに迷惑ばかりかけて。

「いい加減にしないと噛み殺すよ」
「……分かりました。…………雲雀さんのケチー」
「何か言った?」( チャ )
「何でもないでィす」

でもね、ちゃんと分かってるよ。あなたの気持ち、ちゃんと分かってるつもりだから。

「雲雀さん、大好きです」
「…」
「それではまた!」

心に浸透してゆく。スポーツドリンクのように、低浸透圧なあなたの気持ちと私の心。

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