僕らを突き刺すような日差しと、

潮の匂い


全てが、夏の始まりを告げていた。






君と歩いた季節の中に act.11 - ビーチパラソル -







「ッホーイ!海だー!」
「海ッスねー!」


赤い頭ともじゃりな頭が、海の中へ入っていく。
その光景を見て、私の隣に立つ銀色の頭は溜息を吐いた


「…ホンマ、すまんの」
「ううん、私も海きたかったし!むしろ感謝だよ」
「…は優しいのう。あの2人のノリに疲れる俺を慰めて?」
「あーよしよし。じゃあまずビーチパラソル立ててくれる?」
「…はヒドイのう。」
「さっき私のこと優しいって言ったのはどこの詐欺師さんだっけ?」


私と仁王のやり取りに、私の友達2人はポカーンとしていた。
それに気づいて、2人に声をかける


ちゃん、ちゃん?どしたの?」
「どうしたのって…」
「あんたたち付き合ってたの!?」
「「 は? 」」


2人の発言に、私と仁王の声が重なった。


「付き合ってないよ。友達だって2人とも知ってるじゃん。どしたの?」
「だってやり取りとか雰囲気がさ…!」
「恋人っぽいよ!」

「…だってさ。どう思う、仁王くん?」
が恋人ねぇ……。……」
「ちょ、何で目を逸らすかな!?軽く傷付くんですけど!?」


…ほんとは、軽くどころじゃない。
仁王を好きな身としては、かなりかなり傷付きました。


「( 恋愛対象外ってか…。まぁ、分かってたけどさ )」

「よく言われるがの、俺らは友達じゃ」
「ふーん…」
「なんだぁつまんなーい」


ちゃんにちゃん…。つまんないって何よ…!


「(ていうかキミたちは丸井と切原くん狙いでしょう!さっさと海に行ってきなさい!)」


そう視線で告げると、2人は 「あたしたちも行ってきまーす」 と海の方へ走っていった。



…そう、今更だけど今日私たちは海に来ている。

仁王、丸井、切原くん、私、ちゃん、ちゃんの6人で。


言い出したのは、丸井らしい。


『 海に行きたい。女の子も一緒に。仁王、誘え。そしてその友達も連れて来い 』


と…。(ちなみに言葉は簡潔にしております)

それに切原くんも便乗し、2人の勢いに負けた仁王が私にその話をもちかけてきたんだけど。


乗り気でない仁王とは逆に、私はかなり乗り気だった。
だって、仁王と海にいける。それだけで私は十分なのだ。


「…ほら、ビーチパラソル立てなさいってば。手伝ってあげるから」
「…プリ」


折角海に来たんだから、楽しもうよ。ね、仁王!








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