セピア色の世界に、

キミだけが、鮮やかに輝いていた。






君と歩いた季節の中に act.17 - 枯葉の絨毯 -







「もう秋だね…ほんと」
「…そうじゃのう」


私と仁王の間を吹き抜ける風は、心地よい。
うざったい程の湿気も、焼けつく太陽も、温い空気も  今はもう、感じない。

辺りを見渡しても、街はセピア色だった( 足元の枯葉の絨毯が、特にそれを知らしめてくる )


「…のう、


キョロキョロを彷徨っていた視線を、仁王に戻す

( ああ、 )

そうだ、忘れていた。
街は、セピア色だけれど、私の 傍には


「俺らは、友達やんのう…?」


夕日に照らされて きらきらと輝く、銀色。

そんなことは無いはずなのに、私から見れば  彼は全てが 輝いて見えた。


「…そう、だよ?」


この時仁王がどんな気持ちで、どんな理由で私にそんな問いかけをしたのか分からなかったけれど。
私は少しだけ驚きつつも、やっぱり友達なんだ、と 悲しみを覚えつつ、言葉を返した覚えしか なかった。


「…食欲の秋、運動の秋、読書の秋…」

「…仁王?」


「恋愛の秋、か…」


「……うん」



何だか仁王がいつもより綺麗で格好良く、けれどなぜか 切なそうに見えたので

私は仁王を見ていることが出来なくて、俯いて小さく相槌を打つことしか、できなかった。







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