散り損ねた桜の花弁が 君と歩いた季節の中に act.02 - 春の舞 - 「、くぁ…」 欠伸を耐え切れずに、小さく口を開けた。 同時に目に滲んだ涙を軽く拭き取り、ついでに肩に掛けたテニスバッグを掛け直した 「( 始業式の日も部活あるとはの…。朝練ないんが唯一の救いじゃな )」 今日が三年生の始まりの日だということくらい分かっている。 三年生というものが、中学最後の年だということも。 でも、別に寂寥のように思ったり、特に何も感じていなかった。 中学が終われば 次は高校へ進むだけ。 ( それに、どうせ殆どの生徒がエスカレーターで高等部に上がるのだ。友達と離れるということも無い …まぁ、自分はそんなことで悲しんだりしないし、するようなキャラでもないけれど。 ) どうせ高等部へ上がっても、 また 今のメンバーでテニス漬けの毎日を過ごすことになるだけなのだから。 他の登校してくる生徒たちに紛れて、春の匂いのする校門をくぐった |