暗い空から 白が降ってくる。 君と歩いた季節の中に act.22 - ロングマフラー - 「…。」 「…。」 2人、何も言わず帰路を歩いていた。 …急に訪れた雪は、あまりに 寒い。 なので。 「…っふ、フェエックション!」 盛大にやってしまいました。 「クッ…ククク…なんじゃ、今のクシャミは」 ふと、温もりが私を包む。 仁王の笑顔という、ぬくもりが。 「しっしょうがないじゃん、寒いんだから!」 ぷい、とそっぽを向けば、またしても聞こえる笑い声。 その声に、心が暖かくなるのを感じていた ら。 ふわ と 首元に訪れた、温もり。 気がつけば、私の首もとには、仁王のロングマフラーが巻かれていた。 「だっ…駄目だよ、仁王が寒いじゃん」 「大丈夫じゃ」 そう言いつつ、仁王の体は震えている。 「駄目だって!仁王寒がりでしょ」 「それはもうお前に貸したんじゃ――― っくしゅん!」 私はたまらず―――っていうか、何も考えず。 ロングマフラーの半分を、仁王の首に巻きつけた。 「っ!?」 「ほら、これで文句ないでしょ。―――…っ」 やってから、気づいた。 これは普通、恋人同士とかがやる―――…。 時既に遅し。 今更お互いに外すわけにもいかず、その状態のまま 私たちは無言で、雪の中を歩き続けた。 マフラーの温もりではない、 体の奥から湧き出るような熱を、体中に帯びながら ただ、この時間が少しでも長く続きますようにと、願いながら。 |