まるで写真の中の1シーンのように。

目に焼きついて 離れない






君と歩いた季節の中に act.04 - 花びらの雨の中 -






始業式なんてそんなダルいものに出る気なんてサラサラなくて、
HRにはすぐに出られるよう、自分の教室がある校舎の裏へ向かった
何も考えず向かったそこで 見たものは。


「よし!」


見知らぬ女子(多分同級生)が、1人でガッツポーズをしていた。

強い風が吹いて桜の花弁が雨のように降り注ぐ中、それはあまりにミスマッチで。
桜が綺麗だ、と思う心も勿論あったのだが
その女子に対してのこみ上げてくる笑いを 堪えることが、できなかった。
顔を真っ赤にしてこちらを振り向き固まったことも、その笑いに拍車をかけるだけで。


「ックク…お前さん、何一人でガッツポーズして…」


そう言葉にして笑うとそいつは更に顔を赤くし、ついでに耳まで真っ赤に染めて。
笑いが止まらない。


正直 何がそんなに面白いのか自分自身よく分からなかった。
それでも何だか、笑わずにはいられなかったのだ。


「…〜っく、…はぁ…」
「…笑いすぎでしょ、仁王…」
「ん、俺んこと知っとん」
「知らんわけないでしょ」
「クク、そうかもの」


去年の夏、3年生が引退してから、俺はレギュラーになった。
その前からそれなりに成果を残してはいたから、それなりに知名度はあったけれど。
この学校で、テニス部とは高嶺の存在。ゆえに有名なのだ。レギュラーともなれば、名前も知れ渡る
そいつの言葉に俺はまた笑った。口角を吊り上げる程度だったが。


「…ていうか、仁王は何でこんなところにいるんですか」
「サボリじゃけど」
「サボリはいかんでしょうサボリは」
「…何言うちょる。お前もじゃき」
「狽ヘぅあっ!」


そいつは「そうだった…!」と何やらショックを受けている。
今気づいたというよりは、忘れていた、というところだろう

( …何ちゅーか、 )

面白い女だ

「…お前さん、名前は?」
「え? だけど…」
「ん、な」
「?」


頭の上に?マークを浮かべまくる
ん、やっぱ気に入った。

俺は に、と微笑むと、座り込むに目線を合わし、口を開いた


「俺と友達になってくれんかの?」








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