春は出会いと別れの季節。
桜咲き乱れる春
春の匂いを運ぶ春風と、

ひらり ひらり 舞う花弁が


僕らを 包んでいた。






君と歩いた季節の中に act.05 - 終わる春によせて -






「おお。同じクラスじゃったんか」
「(まじでか!)」

本来ならば仁王の名前はちゃっかり探しておいたりするのだが。
今回は友達のことでいっぱいいっぱいで知らなかったのだ。何というサプライズ。

「よろしくの」


仁王が一足先に足を踏み入れ、振り向いて、微笑む。
も教室に入るが、脳内はパンク寸前だった。同じクラスという問題ではない。それ以前に、


「( え!?ちょ、友達になっちゃったよ?!は!? )」


1年のときから想ってきた仁王と。なぜか。
1人でガッツポーズをしていただけなのに。( つか変人じゃん! )

「(あ、仁王も変人だから変人である私を気に入ったとか?変人だなぁ仁王…
 いやだから仁王が変人だから私を友達にしたんであって、変人は私であり…。あれ?分からんくなった )」

ああもう分からない。
でも、


「何しとん。早よおいで」
「…ハイ」


ま、いいか。





奇蹟のような出会いと共に

中学最後の春が始まる









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*これにて春は終わり。次は梅雨に入ります