ぽつり ぽつり  落ちる雨水

世界に恵みと憂鬱を与え


音を立て、僕らを濡らしてゆく。






君と歩いた季節の中に act.06 - 水色の傘 -






「うわーぉ」


3年生になってから、三ヶ月。
イコール、仁王と友達になってから三ヶ月だ

その三ヶ月の間に私たちは結構かなり仲良くなって、親友とも言えるレベルにまで達しているであろう仲だ
まぁ、私は。仲良くなる程に、どんどん好きになっているのだけれど。


はじめは恥ずかしくて、話すのでさえドキドキしてどもっていたけど、
今じゃ普通に話せるようになり、テニス部の人たちとも顔見知りくらいにはなった。
まぁつまり、色々諦めたってことでもある。

゛仲良くなれるなら友達でもいっか”

そんな感じで。


まぁそんな三ヶ月間でした(テニス部ももう関東大会だし)

そして、四月から三ヶ月なのだから今は勿論七月(初旬)で。


梅雨真っ盛りなのである。


今朝、今日は雨は降らないと、天気予報のおにーさん(イケメン)が言っていたから
それを信じて、傘を持ってこなかったのに。
放課後、いざ帰ろうとなると、おもいっきり雨が降ってきてしまった。

そのときの言葉が、さきほどの言葉なのである。


「(どうしようどうしよう)」
?」
「(どうしようどうしよう)」
ー?」
「(どうしよ…)…っわ!仁王!?」


悩みまくっていたせいで、知らない間に目を閉じていたらしい。
呼ばれた気がして目を開ければ、至近距離に 仁 王 。


「やっと気づいたんか」
「びっ…くりしたぁ…」
「で、なした?傘忘れたか」
「ぎっくーん!」

いきなり核心をつかれました。( エスパー仁王! )


「( 「ぎっくーん!」て…)ん、じゃあ一緒に帰るけぇ、入りんしゃい」
「っは!?」
「…うるさ…」
「あ、ごめ…、ってか、いいの?」
「ん」


仁王はそう頷くと、バサ...と傘を開いた
そして傘の中に入った。半分だけ、スペースを開けて。


「何しとう。早よ入りんしゃい」
「…ハイ」


にやける口元を必死に抑えながら、傘の中へ入る
仁王を見上げると、当たり前だけど、かなり近かった。ので、緊張マックス。


でも、そんなこと以上に、


「( 仁王に 水色は  似合う )」


仁王と、仁王の後ろに広がる水色が、あまりに溶け合って綺麗だったので、

私は少しの間、仁王と、その後ろの水色の傘から、目を逸らすことができなかった。








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