雨が降ると思い出す

色あせてゆく記憶の中


いつまでも輝いている、あの日の記憶が蘇る






君と歩いた季節の中に act.07 - 雨男雨女 -







「ヤッホー。観にきたよ」
「おお。よう来たの」
「雨降らなくてよかったねー。仁王も私も雨男に雨女なのにさ」
「晴れ男が多いんじゃろ。…まぁ、俺は試合に出んから晴れでも雨でもどーでもエェんじゃけど」
「え、出ないの!?でも、オーダーには入ってるって…」
「今回は俺シングルス1じゃけぇの。俺までまわってこんよ」
「そうなんだ…」


私は何のためにきたんだ…と思いつつ、項垂れてみる。
すると、


「あ、来た意味ねぇって思ってるだろ。フツーに俺らの応援すりゃいいだろぃ」
「丸井。…あーうん、そうだね、そうするよ。丸井は出るの?」
「もち。一試合目だぜぃ。因みに柳生と」
「頑張ってね!柳生くんも」
「はい、有難う御座います」


フェンスの外から応援する
仁王はほんとはフェンスの中のベンチに座っててもいいのに、私の横に来てくれた

( さり気ない優しさが、嬉しい )

きっと仁王からすればそんなつもりはないだろうし、ただ暇だからなのだろうけど、
私にとったら嬉しいこと以外のなにものでもない。


「今日の相手は何ていう学校?」
「んー…確か、不動産」
「舶s動産屋!?」
「…嘘。( つか不動産「屋」まで言うとらん… ) 不動峰」
嘘か!…不動峰中かぁ…知らないけど、ご愁傷様だね」
「ピヨ」
「…。」


勝てるわけ無い。
だって、王者立海大付属なんだから。


『これより関東大会準決勝 立海大付属中 対 不動峰中の試合を開始します
 ダブルス2、前へ!』


「丸井、柳生くん  頑張れー!」


私の声に気づいた2人はコートに向かいながらこちらを振り向くと、

ニッと笑って、グッと親指を立ててくれました


勝つのは分かってるけど、
頑張れ、2人共!









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